公開日時:2019年3月20日 最終更新日:2019/09/18
【医師監修】突然の新生児の下痢は小児科に行くべき?うんちの色について
この記事の監修ドクター
清水なほみ医師
<監修者プロフィール>
2001年広島大学医学部医学科卒業
中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会
▼ポートサイド女性総合クリニック
http://www.vivalita.com/
このドクターの監修した記事一覧
まだ食事が始まっておらず、ミルクや母乳しか飲まない新生児や赤ちゃんのうんちは元々ゆるいのが正常です。
ただし、いつもと違ううんちを出す場合、下痢を起こしている可能性もあります。
よく生後3~4か月までの赤ちゃんはお母さんの免疫をもらっているから病気にならないと言われますが、周りの環境次第では風邪をひく可能性もゼロではありません。
うんちの色や形は新生児の赤ちゃんの健康のバロメーターなので、健康なうんちについて知っておきましょう。
新生児が出すうんちを知っておこう
産まれてすぐのうんちから、生後1ヶ月~2か月頃のうんちは色も形も変化していきます。
新生児はゆるくて1日に何回もうんちを出すのが正常です。
新生児の下痢を見極めるためにも、まずは新生児が出すうんちについておさらいしておきましょう。
生まれて間もないころのうんち
産まれてはじめてするうんちは真っ黒でベタベタしたうんちが出ます。
初産婦のママは見た途端びっくりすることもあるでしょうが、これは胎便(たいべん)と言って胎児の時に溜めていたうんちです。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中でどんどん大きく育っていき、それに伴い、羊水に皮膚や髪の毛などが浮かびます。
それを綺麗にろ過するために、赤ちゃんは羊水を飲み込み尿として出します。
ろ過した時にたまっている老廃物が胎便として産まれた後に出ます。
ミルクや母乳を飲むようになった頃のうんち
産まれてからミルクや母乳を飲みだすと、胎便とうんちが混ざり合ったようなうんちに変わってくるでしょう。
移行便と呼ばれており、うんちにツブツブが混ざったりすることもありますが特に異常ではありません。
生後1ヶ月~のうんちの回数や色の目安
退院して母乳やミルクを飲む赤ちゃんの正常なうんちの特徴がこちらです。
- 黄色い色
- 緑色
- ツブツブが混ざることもある
- 泥のような液体状
- 少し酸っぱい臭いがすることもある
上記のようなうんちが正常なうんちの目安です。
たまに濃い緑色になることもありますが、腸内にうんちが留まっている時間が長いと腸内にガスが溜まり緑色になることもあります。
またツブツブが混ざることもありますが、顆粒便(かりゅうべん)と言って腸で吸収されなかった栄養素がそのまま出ているだけです。
母乳育児の赤ちゃんは黄色っぽく、ミルク育児の赤ちゃんは茶色っぽいのが特徴です。
少しだけ酸っぱい臭いがするのは母乳に含まれている乳糖が赤ちゃんの腸内でビフィズス菌を育てているからです。
いつもと変わらない臭いであれば赤ちゃんの腸が健康な証拠です。
新生児の下痢の見極め方
健康な状態の新生児のうんちを見てきましたが、どんな場合だと下痢なのでしょうか。
新生児の赤ちゃんのうんちが下痢かどうかを見極めるポイントは以下のことに気を付けてみましょう。
- 回数が極端に増えた
- いつもよりも水分が多い
- いつもと臭いが違う
毎日気を付けて見ていればうんちの違いに気が付きます。
元々赤ちゃんのうんちはゆるいのが当たり前ですが、より一層水分が多いと感じたら下痢を起こしているかもしれません。
また回数が極端に増え、多いと1日20回となることもあるので回数の変化が一番分かりやすいでしょう。
下痢の中に含まれる病原菌によって、おしりもただれやすくなるためお尻の状態で下痢を疑うこともできます。
他に赤ちゃんのうんちで、気を付けておきたいうんちについて知っておきましょう。
- 米のとぎ汁のような白いうんち
- 血液が混ざったうんち
- イチゴジャムのようなうんち
- 灰白色の白いうんち
ウイルスや大腸菌にかかっていると、白っぽいうんちをしたり、うんちの中に血が混ざることがあります。
特にイチゴジャムのようなうんちをした場合、腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)という緊急性の高い病気になっている可能性もあります。
その場合はためらわず救急車を呼んだり、すぐに病院で診察を受けましょう。
また灰白色のうんちを繰り返す場合、先天性の胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)という病気も考えられます。
病気かどうかを知るためにも、しっかりと赤ちゃんのうんちについて普段からのチェックが重要なのです。
新生児が下痢になる考えられる原因
通常はママからもらった免疫のおかげで、下痢を起こしたり病気になることはまれなことです。
しかし上の子がいたり、状況次第では絶対にかからないという訳ではありません。
新生児の下痢の原因はウイルス感染などもありますが、お腹が冷えている、一時的なミルクの飲みすぎなどもあります。
一時的な理由もあるので、1回で判断せず下痢以外に熱や咳など他の症状は無いかチェックすることがポイントです。
新生児の下痢の原因で考えられることは下記の通りです。
インフルエンザ・風邪
発熱や鼻水、咳などを伴うことがあります。
上の子がかかっていたり、保育園で菌を持って帰ると新生児でもうつることもあります。
風邪で下痢になる場合は、腸に風邪のウイルスが感染したためにそのウイルスを早く体の外に出そうと腸が反応している状態です。なので、基本的には下痢は無理矢理止めず、対処療法になることが多く様子を見れば数日で回復していきます。
細菌性胃腸炎
新生児はめったにかかることはありませんが、わかりやすくいうと食中毒のことです。
- カンピロバクター
- O-157
- サルモネラ菌
- ボツリヌス菌
様々な細菌が原因でかかる胃腸炎でも下痢を起こします。
細菌性胃腸炎の場合、うんちに血が混ざったり血便がでることがあります。
もし血の混ざったうんちが出た場合は細菌性を疑い、緊急性が高いのですぐに小児科などで受診しましょう。
ロタウイルス性胃腸炎
ロタウイルス性胃腸炎は5歳までに100%と言ってもいいくらいほとんどの子供がかかると言われているウイルス性の胃腸炎です。
皆がかかるから大丈夫という訳ではなく、低年齢であればあるほど、脱水など重症化しやすいのが特徴です。
ロタウイルスにかかった場合のうんちは、白っぽく米のとぎ汁のようなうんちが出やすいですが、他にも嘔吐があったりどちらかだけということもあります。
ロタを疑ったら、すぐに病院で診察を受けましょう。
またロタウイルスは任意ですが予防接種があるので、新生児でかからなかったとしても予防接種をしておけば重症化を防げるでしょう。
症状から分かる病院に行く目安
ママがいつもと違うなと感じれば、病院に行ってかまいませんが病院に行く目安を知っておくと便利です。
以下の症状が見られたら小児科を受診する目安となります。
病院ではうんちの状態を見ることもあるので、小児科にうんちのついたオムツを持参するかどうか聞いておくとスムーズです。
- 白っぽいうんち
- 血の混ざったうんち
- 機嫌が悪い
- 下痢以外の症状がある
- おしりが荒れている
- おっぱいを飲みたがらない
- 嘔吐する
うんちの付いたオムツを持参する場合はビニール袋に入れてしっかりと封をして持って行きましょう。
病院によっては画像で判断できる場合もあるため、臨機応変に対応してくださいね。
ミルク育児の際に気を付けるべきこと
病気が原因で下痢を起こす場合もありますが、ミルク育児の場合、気を付けたいのが衛生面です。
- 調理器具は煮沸消毒を行う
- 作り置きのミルクはあげない
- ミルクの量を調整する
新生児が下痢を起こす原因のひとつにミルクのあげ過ぎがあります。
またミルクに使う哺乳瓶や乳首などはきちんと消毒を行って、綺麗な状態で使いましょう。
作って置いたままのミルクを再度あげると雑菌が繁殖して不衛生なので避けたいですね。
新生児が下痢をした時にできるホームケア
新生児が下痢をした時に家で気を付けておきたいことをお教えします。
必ず水分補給
きちんとおっぱいやミルクを飲むかどうかチェックしておきましょう。
新生児はミルクや母乳しか飲みませんが、湯冷ましを与えることもできます。
下痢で水分が奪われると脱水症状を起こすので、赤ちゃんが以下の状態になっていないかチェックしましょう。
- 泣いても涙が出ない
- 汗をかかない
- 意識がもうろうとしている
- おしっこが出ていない
- 口や目の周りがシワシワになっている
人間の体は60%が水分と言われていますが、新生児は80%が水分で出来ています。
それほど水分は新生児の赤ちゃんにとって重要な要素になります。
水分が取れているかは見極めるのが難しいですが、上記のような症状であれば急いで病院に行きましょう。
おしりを洗う
下痢の時はおしりふきも刺激になることがあるため、あまり使わない方が良いでしょう。
新生児の皮膚は非常に薄くデリケートなので荒れやすいです。
そのため下痢をしたら、おむつ替えの際に水を入れたペットボトルでお尻を洗う、または水を含んだガーゼでゆっくりと拭いてあげましょう。
濡れたお尻はタオルでゴシゴシ擦らず、押し当てるように水気をふき取ります。
保湿剤を塗る
赤くなったお尻には保湿剤を塗るようにしましょう。
ベビーローションやワセリン、お尻用のかぶれ防止のクリームなどが良いでしょう。
手持ちの保湿剤がない場合や、何を塗って良いか分からない場合は小児科で相談すれば、お尻の保湿剤をもらうことができます。
下痢で小児科を訪れた際に、お尻かぶれ用の保湿剤を処方してもらうことをおすすめします。
まとめ
赤ちゃんのうんちの回数や色は正常範囲内なら問題ありませんが、そんな中でも個人差が表れます。
育児書や母子手帳に書かれていることはあくまでも目安や平均的な数値です。
少しくらい違っていても、その子の個性である可能性があるのであまり心配になる必要はありません。
うんちで健康状態を見るには、ママがその子の毎日の排便について把握しておくことが大切です。
毎日の我が子の普通が分かっていれば、いつもと違う様子があればすぐに気が付くことが必ずできます。
何かおかしいなと思ったら自己判断せずにかかりつけの小児科や夜間診療などを利用しましょう。
早めの診察をして早く治し、赤ちゃんの健康を守りましょう。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
この執筆者の記事一覧
提供:株式会社SANSHIN