公開日時:2019年4月14日 最終更新日:2020/05/27
赤ちゃんの咳にはタイプがある?受診の目安と今すぐの対処法
赤ちゃんの咳の多くは、喉や気道に入ったウィルスなどを排除するために起こります。
発熱と同じく、赤ちゃんによく起こる症状の1つです。
ですので、数日ほどすると、自然に咳が治まることもよくあります。
咳が続く場合は心配になると思いますが、自己判断で咳止めを使うのはおすすめできません。
かえって咳がひどくなる可能性があるからです。
とは言え、病院を受診する目安がわからないパパやママも多いと思うので、咳のタイプや期間などを注意深く観察して、受診したほうが良いか否かの判断をしましょう。
咳のタイプを見分けましょう
一言で咳といっても、乾いたような咳だったり、痰(たん)が絡んだような湿った咳だったりなど様々な種類があります。
タイプごとの咳を見ていきましょう。
コホンコホンと咳をする
コホンコホンと乾いたような咳は、乾性咳嗽(がいそう)という咳です。
主に、風邪をひいたときにこのような乾いた咳をします。
喉や鼻がウィルスなどに刺激をされて、乾いた咳が出るという仕組みです。
寒さの刺激によっても喉や鼻の粘膜が刺激を受けるため、特に冬場は乾いた咳が多くなります。
乾いた咳をしていても元気そうにしていて食欲がある場合は、あまり心配する必要はないでしょう。
ゴホンゴホンと咳をする
ゴホンゴホンと湿ったような咳の正式名称は、湿性咳嗽です。
風邪が長引くと、このような咳に変わることが多いです。
こもったような咳に聞こえるのは、気管に痰が溜まっているからです。
痰にはウィルスなどの異物が含まれているので、痰が出るのを抑えるのではなくなるべく出してあげたほうが良いです。
背中をさすったり空気を加湿したりして、痰を出しやすくしてあげましょう。
ただし、粘りのある痰、やや緑色の痰が出る場合は、気管支炎などを起こしていることもあるので注意が必要です。
ケンケンと咳をする
ケンケンという咳は犬の遠吠えのように聞こえることから、犬吠様咳嗽と呼ばれています。
風邪をひいたときも、このような咳が出ることがあります。
しかし咽頭の炎症が進み、ケンケンと聞こえる咳が出るケースも少なくありません。
ひどくなると気管を塞いで空気が通りにくくなり、呼吸困難に陥ることもあるため注意が必要です。
息を吸ったり吐いたりするたびに肋骨のあたりがへこむ場合は、呼吸が苦しくなっている可能性が高いです。
ですので、よく観察することが大切です。
咳がそれほどひどくなかったり夜から朝にかけて眠れていたりするようであれば、自然に治まることもあります。
ゼーゼー、ヒューヒューと咳をする
赤ちゃんの場合は、風邪をひいたときにゼーゼーやヒューヒューと聞こえる咳をすることがあります。
しかし息を吐いているときにゼーゼー、ヒューヒューという咳を3回以上する場合は、喘息の可能性を疑ったほうが良いかもしれません。
赤ちゃんが息を吐いているときにこのような咳が聞こえるか否かを確かめるだけなので、自宅でも簡単にチェックすることができます。
また普通の咳とは違う咳に聞こえるので、パパやママも違和感を覚えるでしょう。
ただし、夜中~朝にかけて咳をせずに眠れている場合は、このような咳をしていても自然に症状が軽くなることもあります。
こんな症状が見られたら受診しよう
赤ちゃんの咳のほとんどが心配のいらない咳ですが、中には治療が必要な咳もあります。
次のような症状があるときは、病院で受診することを考えましょう。
- ミルクを飲まない
- 夜間~明け方にかけて咳がひどくなる
- 咳が長期間続く
- 元気がない
- ゼーゼー、ヒューヒューという咳をする
- 顔色が悪い
この他にも、パパやママがおかしいなと感じたら受診をしましょう。
休日や夜間など掛かりつけの医院が休診の場合に病院に連れていくべきか迷った場合、「子ども医療電話相談(小児救急電話相談)」に電話して相談するのも1つの方法です。
#8000とボタンを押せば、どのような行動をとれば良いのか相談に乗ってくれます。
咳が出ている期間にも注意
咳が出ている期間を把握することも、受診をしたほうが良いか否かを判断する上で役立ちます。
長引く咳の場合、次の3つの期間に応じて分けることができるようです。
- 3週間未満で落ち着く咳:急性の咳(急性咳嗽)
- 3~8週間続く咳:遷延性の咳(遷延性咳嗽)
- 8週間以上続く長引く咳:慢性の咳(慢性咳嗽)
例えば8週間以上咳が続く場合は、百日咳や喘息(ぜんそく)の疑いがあります。
このように隠れている病気を見つけるのにも役立つので、赤ちゃんが咳をしている日は手帳などに印をつけるなどして記録しておくと良いでしょう。
アレルギー検査が必要なこともある
ゼーゼー、ヒューヒューというような咳をする場合は、乳児喘息の可能性もあります。
乳児喘息は特定の食べ物や動物の毛、ホコリに対するアレルギーが原因で起こることもあります。
特に多いのが食べ物によるアレルギーです。
牛乳や卵などは、特に食物アレルギーを起こしやすい食べ物です。
そのため、場合によってはアレルギー検査をすることがあるということも覚えておきましょう。
検査をするためには、ママが食べているものや赤ちゃんが口にしたものなどの情報が必要です。
ですので、毎日食べたものを全て記録しておくようにしましょう。
ご家庭でできる咳対策
赤ちゃんが咳をし出した際に、ご家庭でしてあげたい咳対策についてご紹介します。
体勢を起こして楽にしてあげよう
赤ちゃんが咳をしているときは、仰向けで寝かせるよりも上半身を少し起こしてあげたほうが良いです。
肺の圧迫をやわらげることができるので、少し楽になるでしょう。
座布団やタオルケットなどを使えば、赤ちゃんの体が安定しやすいです。
抱っこをする場合も、上半身が少し丸まるようにして抱っこをしてあげましょう。
またボタンが付いている衣類を着せている場合は、ボタンをはずして呼吸がしやすいようにしてあげてください。
背中をさすってあげるのも効果的です。
水分を与えることも大事
喉の潤いが足りないと咳が出やすくなるので、水分補給をすることも大事です。
継続して咳が出ている場合も、咳の合間を見計らって水分を与えましょう。
冷たい水や麦茶などを与えると、咳がひどくなることがあります。
ですので、水や麦茶を温めてから飲ませるようにしてください。
一度にたくさん飲ませるのではなく、少しずつ与えるようにしましょう。
母乳やミルクを飲ませるときも同様です。
加湿と清浄を心掛けよう
空気が乾燥していると、咳が出やすくなります。
そのため、日頃から空気が乾燥しないように、加湿器を使って湿度を調整することが大切です。
咳の原因になるウィルスやホコリなどを防ぐために、一緒に空気清浄機も使うとより効果的です。
特に赤ちゃんの周りにいる大人がタバコを吸っている場合は、赤ちゃんがタバコの煙を吸い込まないように細心の注意を払いましょう。
できればタバコは完全に止めたほうが良いですが、どうしても我慢できないときは外で吸うようにしましょう。
こまめに掃除をしよう
ホコリやダニが咳の原因になることもあるため、忙しくても毎日部屋の掃除をすることをおすすめします。
家具や床のホコリだけでなく、照明器具などの見えにくいところのホコリも小型のモップなどを使ってキレイにしましょう。
その後は、濡れ雑巾やモップを使って拭き掃除をしてください。
そうすることで残っているホコリも、キレイに取ることができます。
赤ちゃんが寝ている布団も、定期的に干したり掃除機をかけたりしましょう。
赤ちゃんは布団に寝ている時間が長いので、布団を清潔に保つことが大切です。
まとめ
赤ちゃんの咳には、乾いたような咳や湿ったような咳などの数種類の咳のタイプがあります。
どのようなタイプの咳をしているかが分かれば、緊急性が高い咳か否かのおおよその判断に役立ちます。
またどれくらいの期間咳をしているかを把握することも大切です。
乾いた咳をしていても長引くようならば、病院で診察を受けたほうが良いでしょう。
掛かりつけの病院が営業時間外で、自分たちだけでは判断できないときは、子ども医療電話相談(小児救急電話相談)に相談してみてください。
赤ちゃんが苦しそうに咳をしているときは、上半身を起こしたり水を飲ませたりすると咳が治まりやすいです。
また日頃から、咳が出にくくなるような環境作りをすることも大事です。
提供:株式会社SANSHIN