公開日時:2019年8月7日 最終更新日:2020/04/08
【医師監修】赤ちゃんのよだれかぶれの原因や症状は?適切なスキンケアで対策を!
この記事の監修ドクター
清水なほみ医師
<監修者プロフィール>
2001年広島大学医学部医学科卒業
中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会
▼ポートサイド女性総合クリニック
http://www.vivalita.com/
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赤ちゃんの頃に起こりやすい乳児湿疹の一つに「よだれかぶれ」があります。
赤ちゃんが涎(ヨダレ)を垂らしている姿は可愛らしくありますが、肌トラブルの原因になるだけでなく、最近ではアレルギーとの関係性も指摘されています。
赤ちゃんのよだれかぶれの原因や症状、対策について見ていきましょう。
よだれかぶれとは何?
よだれとは無意識に口から垂れた唾液(だえき)を意味します。
よだれかぶれはよだれが皮膚に接触することによって「かぶれ」が生じる乳児湿疹で、接触性皮膚炎の一種とされています。
よだれかぶれの症状
症状としては、口周りが赤くかぶれた状態になり、ブツブツとした湿疹ができたりします。
酷くなってくると、口周りの皮膚がカサカサし、場合によっては擦り傷のような状態となり、血が滲み痛みが生じることもあります。
また多くの場合、痒みを伴います。
症状の範囲も口周りから頬、首回り、耳の下などに拡大する場合もあります。
指しゃぶりをする赤ちゃんの場合は、指によだれが付いた状態となり、手の周りによだれかぶれの症状が表れる場合もあります。
できやすい時期
よだれかぶれはよだれの量に比例して起こりやすい症状です。
一般的に赤ちゃんのよだれが出だすのは生後2~3ヶ月頃とされています。
ただし、よだれの分泌量は個人差があるため、一概には言えませんが、生後2~3ヶ月頃の赤ちゃんの場合は口からよだれが溢れるということは珍しく、それほどよだれかぶれが起きやすい時期ではありません。
よだれが垂れるほどに分泌量が多くなるのは生後5~6ヶ月頃とされており、この時期は乳歯の生え始め、離乳食のスタート時期と重なります。
唾液の働きとしては、
- 口内のpHを整え、虫歯予防に役立つ
- 口内の汚れを洗浄する
- 食べ物の消化を良くする
といった役割があるため、食事をするための準備として唾液量が増えますが赤ちゃんは唾液を上手に飲み込むことができず、口周りの筋肉も未熟なため、それに伴い、よだれが垂れることも多くなります。
そして、1日1回の離乳食から1日2回の離乳食に変更したり、初期のペースト状の離乳食から徐々に固形物を与え始め出す生後7~8ヶ月頃になると唾液の量がピークとなり、よだれの量も多くなりがちです。
それに伴い、よだれかぶれの症状が表れやすくなります。
生後1歳~2歳の間に口周りの筋肉も発達していき、また唾液を飲み込むのも上手になっていくため、よだれを垂らすことが減っていきます。
そのため、よだれかぶれが生じやすい時期は生後2~3ヶ月から生後1~2歳までの間と言えます。
食物アレルギーとの関係
よだれかぶれとの関係で近年注目を浴びているのが、食物アレルギーです。
どうして肌と食物アレルギーが関係あるの?と思われるかもしれませんが、実は皮膚からもアレルギー発症につながるアレルゲンが侵入する場合があります。
お肌は本来の健やかな状態であれば、バリア機能が働き、外部からの物質の侵入を防ぐ役目を果たしています。
ただし、赤ちゃんは大人に比べお肌のバリア機能が未熟であり、さらにはよだれかぶれによって、肌荒れや乾燥を起こした状態のお肌は、よりバリア機能が低下した状態です。
そんなバリア機能が低下した状態のお肌に離乳食やミルクの成分を含んだよだれが接触したり、食べ物や飲み物が直接触れたりすることで、アレルゲンが皮膚を通して侵入し易くなり、食物アレルギーが発症する場合があります。
よだれかぶれの原因
よだれかぶれの原因について詳細にみていきましょう。
涎(ヨダレ)
よだれかぶれという名称からわかる通り、よだれが原因となりますが、大きく分けて2つの視点から考えることができます。
- よだれを拭き取ることによる肌の乾燥
- よだれによる乾燥やよだれに含まれる食べ物などによる刺激
まず、子供がよだれを垂らしていると拭き取ったりしてあげますよね。
この拭き取るという行為がお肌の乾燥につながる場合があります。
というのも、拭き取る際に肌を擦ってしまうと肌表面の角質層を傷つけることにつながります。
さらに、拭き取る際にお肌の潤いを守っている皮脂も一緒に取り除いてしまうことで、潤いが失われやすくなります。又、付着したよだれが乾燥し、潤いが失われる事も原因の1つです。
そのため、「涎を垂らす」「拭き取る」という行為を繰り返すことでお肌が傷つき、潤いが失われ乾燥し、お肌のバリア機能が低下していきます。
それと同時に、バリア機能が低下したお肌は刺激に敏感となり、よだれに含まれる食べカス・食べこぼし、ミルクなどが刺激となり、よだれかぶれを引き起こします。
よだれかけ(スタイ)
垂れてくるよだれを受け止めてくれるよだれかけ(スタイ)を愛用しているケースも多いのではないでしょうか?
最近では可愛いデザインやシンプルでおしゃれなスタイがたくさん販売されていますので、ファッションアイテムとしてスタイを取り入れている場合もあるでしょう。
ただし、スタイがよだれでビチョビチョになった状態で放置していると涎まみれのスタイが肌に触れることでよだれかぶれを引き起こすケースがあります。
抱っこ紐
スタイと同様に抱っこ紐がよだれでベチョベチョになっている場合はよだれの付いた抱っこ紐が肌に触れてよだれかぶれにつながる場合があります。
よだれかぶれの対策
よだれかぶれができる原因がわかれば、対策しやすくなります。
よだれかぶれからお肌を守るための予防とよだれかぶれができてしまった場合の治療の2つの視点から対策をみていきましょう。
よだれかぶれからお肌を守る予防ケア
大切なことはよだれかぶれができないように対策することです。
そのためには日々適切なスキンケアを行ってあげましょう。
よだれかぶれからお肌を守るためにやっておきたいスキンケアをご紹介します。
お肌を清潔に保つ
よだれかぶれの原因となるよだれが肌に付いた状態で放置しないことが大切です。
口から垂れたよだれの対処としては「拭く」「洗う」が基本となります。
ただし、誤った拭き方・洗い方を行うと逆効果となりますので注意が必要です。
拭き方
よだれを拭き取る場合は濡らしたコットンやガーゼでやさしく押し当てるように拭き取ってあげましょう。食べカス・食べこぼしを取り除く場合も擦らず濡らしたガーゼなどでつまみ取るようにしましょう。
くれぐれもゴシゴシと擦るように拭き取ったりしないように気を付けてください。
摩擦はお肌を傷つけてバリア機能の低下を招きます。
赤ちゃんのお肌はデリケートなので、素材にもこだわり、ゴワゴワしたタオルよりもコットンやガーゼなどがおすすめです。
洗い方
洗う場合は入浴の時以外はぬるま湯で流してあげましょう。
入浴の際にはベビーソープなどの洗浄料を用いて洗ってあげた方が良いですが、何度も洗浄料を使って洗うと必要な皮脂まで洗い流してしまい、お肌の乾燥を招きますので一日一回程度にしておきましょう。
洗った後は乾いたコットンやガーゼなどを押し当てるように拭いてあげてしっかりと乾かしてあげてください。自然乾燥はお肌の乾燥につながります。
保湿ケア
よだれかぶれ対策としての保湿ケアには2つの意味があります。
一つはお肌のバリア機能の低下を招く原因の一つである乾燥からお肌を守るためです。
もう一つは肌表面を覆うことでお肌に直接よだれや食べカス・食べこぼし・ミルクなどが付着することを防ぐためです。
お肌のバリア機能を健やかに保つために、よだれ等の付着を除いた後にこまめにワセリン等の保護剤を使用する事でケアすることはできます。しかしながら大切な赤ちゃんだからベビー用品を使用したいと考えられるお父さん、お母さんも多いと思います。なので、赤ちゃん用の化粧品で保湿ケアに用いる保湿剤の選び方などを紹介したいと思います。
乾燥対策と保護を目的とした保湿剤の選び方
赤ちゃん用の保湿化粧品には種類があります。
- ベビーローション
- ベビークリーム
- ベビーバーム
- ベビーオイル
乾燥対策とお肌の保護を目的とした場合、お肌に潤いを補うだけでなく、油性成分などでお肌の表面を覆うことが欠かせません。
化粧水タイプのベビーローション以外は基本的に油性成分が含まれていますので、保護の役割を果たしてくれます。
ベビーバームやベビーオイルの場合は保護力は高いですが、お肌に潤いを補う役割の面では物足りない場合があります。
日々の保湿ケアには乳液タイプのベビーローション、乾燥が気になる場合はベビークリームなど使い分けてみてはいかがでしょうか。
保湿剤はそれぞれの特性を知り、使い分けることが大切です。
しっかりと赤ちゃんのお肌を守るにはお肌に潤いを与え乾燥から守り、お肌表面を油性成分で覆い保護することが重要となります。
配合成分に注意
保湿化粧品を選ぶ際には配合されている成分をチェックするようにしましょう。
化粧品に含まれる成分がアレルゲンとなりえる事もあるため、目的とする成分にあっているかをしっかり確認しましょう。香料や保存料が含まれているとかえって肌の負担になる可能性があります。最近は皮膚科で処方される保湿剤の一部が薬局でも手に入りますので、できるだけ余分なものが入っていない保湿剤を選ぶようにしましょう。
よだれかぶれの治療について
できてしまったよだれかぶれはなるべく早期の治療をおすすめします。
よだれかぶれは痒みが生じるケースが多く、痒いから掻くといったことを繰り返しているうちにお肌がボロボロになり、症状が悪化していく場合があります。
そのため、早めにしっかりと治しきることが一番大事です。
医療機関を受診
よだれかぶれの予防のために行うスキンケアを実践しても症状があらわれた場合は、信頼のおける掛かりつけ医院を受診しましょう。
受診するのは、
- 皮膚科
- 小児科
- 小児皮膚科
といった診療科です。
診察の際に言われた医師からの指示はしっかりと守りましょう。
指示通りにしていても症状が治まらない場合「診断が間違っているのでは?」と思い、途中で自己判断により治療をやめてしまう場合もあるかと思いますが、自己判断は症状を長引かせる原因になり得ます。
指示通りにしても良くならない場合はその旨を医師にきちんと伝えることが大切です。
それでも気になるならば、別の医療機関を受診する事をオススメします。
処方された薬は正しく使う
病院で処方された薬は医師や薬剤師の指示通りに正しく使うことが大切です。
処方された塗り薬などに疑問や不安がある場合などは診察の際に医師に確認するようにしましょう。
まとめ
よだれかぶれはよだれの量が多い赤ちゃんがなりやすい乳児湿疹です。
赤ちゃんのお肌を守るためには、しっかりと日々の生活において、お肌を清潔に保つ、保護・保湿するなど適切なスキンケアが重要です。
もしよだれかぶれといった症状が見られた場合は、痒みや痛みといった赤ちゃんにとって辛い症状をいち早く治すことを考えましょう。
そのためには、自己診断に頼るのではなく、必ず医療機関を受診することが大切です。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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提供:株式会社SANSHIN