公開日時:2019年9月25日 最終更新日:2023/02/09
【医師監修】赤ちゃんの食物アレルギーについて!子供のために知っておきたい原因や症状
この記事の監修ドクター
清水なほみ医師
<監修者プロフィール>
2001年広島大学医学部医学科卒業
中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会
▼ポートサイド女性総合クリニック
http://www.vivalita.com/
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赤ちゃんに多い食物アレルギーは症状の程度や原因となるアレルゲンに個人差があり、軽度な症状の場合もあれば、命に関わるケースもあります。
食物アレルギーの症状は皮膚だけとは限りませんが、湿疹などお肌に症状が出ることが多いです。
ここでは赤ちゃんの食物アレルギーについて、種類や原因・症状などお肌に表れる症状に限らず、食物アレルギー全般についてご紹介します。
食物アレルギーとは?
食物アレルギーというのは食べ物に含まれるアレルゲン(主にたんぱく質)に対して、体内の免疫機能が過剰に反応することで、体にさまざまな症状を引き起こすことを言います。
食物アレルギーはフードアレルギーと呼ばれることもあります。
アレルギー反応は初回のアレルゲンの経口摂取や経皮吸収時には起こりません。
体内には様々な物質が口・鼻や皮膚などから侵入します。
例えば、細菌やウイルス、ダニやほこり、花粉などがあります。
これらが体内に侵入した際に異物として認識されます。これを抗原と言います。
抗原の中でアレルギーを引き起こすものをアレルゲンと呼びます。
アレルゲンが侵入した際に体内でIgE(アイジーイー)抗体が作られ、このIgE抗体は血液によって運ばれ、粘膜や皮膚等に存在するマスト細胞(肥満細胞)にくっついた状態で留まります。
この状態がいわゆる感作(かんさ)という状態です。(※肥満細胞という名前ですが、通常の肥満とは無関係です。)
感作されただけではアレルギー反応は起こらず、感作状態で再度アレルゲンが侵入した際に、マスト細胞にくっついているIgE抗体と反応し、それがマスト細胞に伝わり、ヒスタミンやロイコトリエンなどが放出され様々なアレルギー反応が起こります。
これが主なアレルギー発症のメカニズムと考えられています。(※必ずしもこの通りではなく例外もあります。)
要するにアレルゲンに感作した状態でなければ、アレルギー反応は起こらないわけです。
そして、このアレルギー反応が食品によって引き起こされるのが食物アレルギーです。
食物アレルギーの種類
また、食物アレルギーと一言で言っても実際にはいくつかの種類に分類されます。
即時型食物アレルギー
即時型食物アレルギーとは食事の後2時間以内にお肌や粘膜(口や鼻の中など)、呼吸器、消化器(胃や腸など)などに症状が表れるアレルギーです。
皮膚・呼吸器・消化器など一度に複数個所に症状が出る場合をアナフィラキシーといい、意識がもうろうとしたり、ぐったりするような症状をアナフィラキシーショックと言います。
赤ちゃんから大人まで見られる症状ですが、1歳までの乳児期の赤ちゃんに多く見られます。
原因
即時型食物アレルギーの原因となりやすい食べ物は年齢を重ねるにつれて変化していきます。
1歳までの乳児期に即時型食物アレルギーを発症しやすい原因として多いのは順に鶏卵・牛乳・小麦です。
年齢が上がるにつれ、即時型食物アレルギーが初回発症しやすい原因となる食べ物は少しずつ変化していきます。
例えば、1歳を過ぎると魚卵やピーナッツ、果物なども原因として多くなり、ソバアレルギーは4歳頃から原因として多くなり、小学生くらいになると甲殻類が即時型食物アレルギーを発症しやすい原因として最も多くなります。
また成人後の発症原因として多いのは小麦や魚類・甲殻類です。
症状
即時型食物アレルギーとしての症状は症状の表れる箇所によって異なります。
皮膚に表れる症状としては、蕁麻疹(じんましん)、痒み、発赤、湿疹などがあります。
粘膜に症状が表れる場合、
- 目:痒み・充血・まぶたの腫れ・涙
- 鼻:鼻水・くしゃみ・鼻詰まり
- 口:喉の痒み・喉のイガイガした感じ、唇の腫れ
といった症状が一般的です。
呼吸器に表れる症状としては、咳(せき)、ゼーゼーやヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)、息苦しさ、喉の締め付け感などがあります。
消化器に表れる症状は下痢(げり)・吐き気や嘔吐・血便・腹痛などがあります。
上記の症状が一度に表れるとアナフィラキシーで、さらに症状が重く、脈が早くなったり、血圧が低下したり、意識を失いそうになたりするとアナフィラキシーショックの状態で命に関わります。
遅延型食物アレルギー
遅延型食物アレルギーは食後、症状が表れるまでに数時間から数日かかるアレルギーです。
より詳細に
- 食後6~8時間後に発症するアレルギーを遅発型食物アレルギー
- 食後1~2日後に発症するアレルギーを遅延型食物アレルギー
と分類されることも多いです。
特徴としては、即時型食物アレルギーに比べ、発症までの時間が掛かることや、症状が疲れや頭痛・イライラなどアレルギーではなくても起こりえる症状であるため、原因がわかりにくい、気付きにくいということが挙げられます。
赤ちゃんから大人まで発症しますが、大人の方で遅延型食物アレルギーに悩む方が多いようです。
即時型食物アレルギーの場合はIgE抗体が関係していますが、遅延型食物アレルギーの場合はIgG抗体が関係しています。
原因
遅延型食物アレルギーの原因となる食べ物は卵や乳製品が多いのですが、同じ食べ物を毎日食べるなどによって発症する場合もあります。そのため、実は自分の好物がアレルゲンであると判明して驚かれるケースも多いようです。
症状
遅延型食物アレルギーの症状として、赤ちゃんにも関わりの深い症状としては、湿疹などの肌荒れやアトピー性皮膚炎があります。
それ以外の遅延型食物アレルギーの一般的な症状としては、
- 体調面:頭痛・肩こり・便秘や下痢・むくみ・腹痛
- 精神面:疲労感・イライラ・集中力の低下・めまい・眠気
などがあります。
口腔アレルギー症候群
口腔アレルギー症候群とは果物や野菜を食べた際に口内や耳奥などにアレルギー症状が表れるアレルギーです。
果物などを食べ始める幼児期から大人まで発症するアレルギーです。
原因
口腔アレルギー症候群は花粉症と関連があるとされています。
花粉と果物や野菜は一見無関係に思いますが、花粉に対してアレルギーがある場合、花粉と似たアレルゲンを持つ果物や野菜を食べた場合に症状が表れることがあります。
花粉と果物のように異なるものであったとしても、アレルゲンとなるタンパク質の構造が似ている場合、何かの花粉にアレルギーがあると、似た構造のタンパク質を含んだ果物に対してもアレルギー反応がでることを交差反応と言います。
ゴムなどに含まれるラテックス抗原と果物や野菜に含まれる抗原が交差反応を起こしアレルギー反応が起こるケースもあり、ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれています。
交差反応によるアレルギー症状がでやすいパターンとしては、
- ブタクサの花粉アレルギーの場合はバナナやすいか、メロンなど
- ハンノキやシラカバの花粉アレルギーの場合はモモやリンゴ、豆乳など
- ラテックスアレルギーがある場合はバナナやキウイ、アボカドなど
があります。
症状
口腔アレルギー症候群の症状としては、口内や喉、耳奥などに痒みや痛みといった症状が表れます。
症状の程度としては軽い場合が多いですが、アナフィラキシーを起こす場合もあるため、注意が必要です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーはアレルゲンとなる食べ物を食べただけでは症状は起きませんが、食べた後に運動をすることで症状が表れるアレルギー症状です。
運動量が多くなる小学生高学年や中学生以降から大人に見られるアレルギーです。
原因
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因となる食べ物は甲殻類や小麦が多く、食後2時間以内の運動によって発症することが多いです。
ただし、ストレスや寝不足、疲労、生理前、花粉、暑い季節・寒い季節、入浴など体調や環境による影響も関係していると考えられています。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーが起こる理由としては、安静な状態でアレルゲンとなる食べ物を食べた際には原因となるタンパク質がきちんと消化・吸収されるため、アレルギー反応が起きませんが、運動することによって、消化などに必要な血流が不足し不十分な消化となり、アレルゲンが吸収されてしまうからではないかと考えられています。
症状
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの症状としては全身などに蕁麻疹が表れたり、呼吸困難、意識の消失などがあります。
新生児・乳児消化管アレルギー
新生児・乳児消化管アレルギーとは粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに起こるアレルギー症状です。
原因
原因としては粉ミルクに含まれる牛乳のタンパク質がアレルゲンとなっています。
症状
新生児・乳児消化管アレルギーの症状は嘔吐・下痢・血便・腹部膨満(お腹のハリ)があります。
症状が表れるまでの時間は約1日(24時間)以内と遅めです。
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係
乳児期のアトピー性皮膚炎の症状は顔に表れ、月齢が経過するにつれ全身に広がっていくケースがほとんどです。
顔にはアトピー性皮膚炎だけでなく様々な乳児湿疹が表れることが多く、見分けるのが難しいとされていますが、生後3ヶ月頃の乳児期からアトピー性皮膚炎と診断される赤ちゃんもいます。
アトピー性皮膚炎と診断されると、ステロイドの塗り薬や保湿剤などを処方して治療にあたることが多いですが、医師の指示通りきちんとケアしているにも関わらず、2ヶ月以上改善しない、もしくは症状が悪化する場合は食物アレルギーを併発している場合があります。
特に卵アレルギーとの関係が強いのではないかという国立成育医療研究センターによる報告もあります。
微量の血液でアレルギー反応をおこすIgE抗体を測定する新規方法をもちいることにより、アトピー性皮膚炎あるいは湿疹を発症した乳児では卵白に対するIgE抗体が非常に高い値(オッズ比4倍以上)を示すことを確認しました。
食物アレルギーと母乳の関係
離乳食が始まるまでの赤ちゃんの食事といえば、ミルクか母乳です。
お母さんの体内で作られる母乳なので、お母さん自身の食事内容が子供の食物アレルギーに影響するのではないかと不安になられる方もいらっしゃると思います。
結論からいうと母乳による食物アレルギーは全くないわけではありませんが、ほとんどは影響しない場合が多いようです。
まれに母乳の成分がアレルゲンとなり食物アレルギーの症状が出ている可能性がある場合があり、その場合は一時的にお母さん自身に原因とみられるアレルゲンの除去食が必要となる場合があります。ただし、お母さん自身の除去食は短い期間で解除されることがほとんどです。
赤ちゃんの食物アレルギーはいつから?
初回接触時にはアレルギー反応は起こらないとお伝えしましたが、離乳食を開始して初めて食べる食事に対してアレルギー反応が出る赤ちゃんがいます。
その場合、離乳食が始まるまでにすでに感作が起こっていることになります。
その際の感作経路は皮膚ではないかと考えられています。
バリア機能が未熟な赤ちゃんのお肌からアレルゲンが侵入し、感作が起こって、食物アレルギーが発症という流れです。
また、生後3ヶ月頃からアトピー性皮膚炎と診断された赤ちゃんでスキンケアをきちんと行っても症状が続いたり、悪化する場合にも食物アレルギーを併発している場合があるとお伝えしました。
そのため、早ければ生後3ヶ月頃から食物アレルギーを発症する可能性があります。
もちろん、赤ちゃんによって個人差があります。
食物アレルギーはいつまで続く?
乳児期に食物アレルギーを発症するケースは多く、乳児の10%ほどが何かしらの食物アレルギーがあると言われています。特に乳児期のアレルゲンとして多い鶏卵・牛乳・小麦は成長するに伴い耐性がつき、食べられるようになることも多いです。一般的には3歳で50~70%、6歳で90%が食べられるようになるとされています。
一方で、学生時期や大人になって発症した食物アレルギーの場合は治りにくい場合が多いです。
魚類や甲殻類、果物といった乳児期よりも小中学生以降に発症しやすいとされる食べ物は治りにくいとされています。
他にもソバアレルギーやピーナッツアレルギーも治りにくいアレルギーとされています。
食物アレルギーは親から子へ遺伝する?
親がアレルギーだと子供もアレルギーを起こしやすいとよく言われています。
実際のところどうなのかというと、アレルギー素因は親から子へ遺伝する可能性はありますが、親が卵アレルギーだからといって子供が卵アレルギーになるとは限りません。
アレルギーは遺伝だけでなく環境によっても発症すると考えられています。
加熱とアレルゲンとの関係
食物アレルギーは食品に含まれる特定のタンパク質がアレルゲンとなることが多いですが、熱を加えることによってアレルギー反応の起こりやすさが変化する場合あります。
例えば、鶏卵アレルギーの場合、卵を高温で長時間加熱すればアレルギーは起こりにくくなります。
一方で牛乳アレルギー、小麦アレルギーの場合は加熱をしてもアレルギーの起こりやすさはあまり変わりません。
食物アレルギーと間違いやすい症状
食物アレルギーと間違われやすい症状としては、ヒスタミン中毒があります。
新鮮ではないサバなどの魚を食べることによって、嘔吐や蕁麻疹といった症状を引き起こします。
他にも乳糖不耐症といって牛乳などに含まれている乳糖を分解する酵素が生まれつき少ない場合に、牛乳などを飲むと下痢などが起こる症状も新生児・乳児消化管アレルギーと症状が似ているため間違われやすいです。
食物アレルギーの予防
現状では食物アレルギーを完全に予防する方法はありません。
アレルギーは遺伝と環境によって発症するかどうかが決まり、遺伝についてはどうしようもないため、環境面においてできる範囲内で対策をすることとなります。
離乳食を遅らせない
ご両親がアレルギーをお持ちの場合に我が子の食物アレルギーを心配して、離乳食を遅らせた方が良いのではないかと思われがちですが、離乳食の開始は遅らせない方が良いとされています。
離乳食開始時期前に子供の肌荒れがひどかったり、アレルギーが心配な場合は離乳食開始前から専門機関で相談し、アレルギー検査などを受け、医師の指示を仰ぎながら離乳食を開始されると良いでしょう。
離乳食の開始を遅らせることがアレルギーの発症リスクを高めると考えられています。
最低限の掃除・洗濯は行う
極端な話、室内を無菌状態にするというのは免疫機能の正常な発達を阻害する可能性があるため、良くありませんが、掃除や洗濯を怠り、ダニやハウスダストまみれの室内もアレルギー発症の原因となる可能性があるため、子供部屋の掃除・寝具や衣類のこまめな洗濯などはしっかりと行ってあげましょう。
スキンケアの徹底
アレルゲンは食事からだけでなく、皮膚からも経皮感作という形で侵入してきます。
赤ちゃんの場合はお肌のバリア機能が未熟なため、保湿スキンケアをしっかりと行いバリア機能をサポートすることで、アレルゲンの侵入から守ってあげることが大切です。
妊娠中の妊婦さんの除去食の効果は?
妊娠中に卵や牛乳などを妊婦さんが摂取することで子供が卵アレルギーや牛乳アレルギーを発症することにつながるのではないか?と心配されるお母さんも多いようですが、現在では妊婦時のアレルゲンの除去食は子供のアレルギー予防につながらないことがわかっています。
食物アレルギーの治療
食物アレルギーの症状や程度は人それぞれ違います。
また、食物アレルギーの症状と良く似た乳児湿疹があったりなど、食物アレルギーなのかどうかの判断も難しいのが実際のところです。
ただ、食物アレルギーは場合によってはアナフィラキシーのような命に関わる症状となることがありますので、自己診断に頼らず、早めに専門の医療機関を受診しましょう。
医療機関を受診する目安
食物アレルギーが発覚しやすいのは離乳食がスタートする時期ですが、離乳食開始時期よりも前に赤ちゃんにアトピー性皮膚炎やひどい湿疹症状が見られる場合は先に医療機関を受診しアレルギー検査をしておくのも良いでしょう。
離乳食開始後、食事の後にアレルギー反応とみられる症状(蕁麻疹など)が見られた場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。
何科の医療機関を受診?
食物アレルギーが疑わしい場合に受診する医療機関は下記のようにアレルギー外来なども受け付けているクリニック・病院がおすすめです。
- 内科・アレルギー科
- 小児科・アレルギー科
- 皮膚科・アレルギー科
主な治療の流れ
一般的に食物アレルギーとみられる症状が表れ、医療機関を受診した際の治療の流れは下記のようになることが多いです。
原因となるアレルゲンの特定
医療機関にて診察を受けた際に食物アレルギーによるものなのか、もし食物アレルギーが疑わしい場合、何の食べ物がアレルゲンとなっているのかを特定していくこととなります。
詳細な問診
医療機関を受診した際、食物アレルギーである可能性や、原因となりそうなアレルゲンについて調べるため医師による詳細な問診があります。
詳細な情報は診断の
下記のような内容を予め記録しておくと良いでしょう。
- 何をどれくらいの量食べた?
- 食べてから症状が表れるまでの時間
- どんな症状が表れたか(特徴)
- 症状はどのくらいの時間続いたか
- 同じような症状が過去にもあったか(症状の再現性)
血液検査(特異的IgE検査)
いくつかある血液検査の中でも一般的なものとして特異的IgE検査があります。IgEが高いと感作が強いという意味になりますが、仮に陽性反応が出た食べ物であっても、アレルギーの症状が出ない場合もあり、アレルギー症状がでなければ、食物アレルギーとしては診断されず、除去することもありません。
あくまでもアレルゲンである可能性があるという判定となります。そのため、他の検査などで本当にIgEが高く陽性反応が出た食べ物に対し食物アレルギーがあるのかについて調べることとなります。
他にもHRT(好塩基球ヒスタミン遊離試験)という血液検査もあります。
即時型アレルギーを調べる検査で、採取した血液から好塩基球という細胞を分離し、そこにアレルゲンを添加することで放出されるヒスタミンの量を測定し、アレルギー反応を調べます。
皮膚プリックテスト
プリックテストは即時型アレルギーの検査として使われます。皮膚に対してプリック針を刺し、少量のアレルゲンを皮膚に入れ、15分~30分後に膨疹径や紅斑径を測定して食物アレルゲンの有無を判定します。
簡単に行うことができるため、乳幼児の食物アレルギー検査にも用いられます。
食物経口負荷試験
食物アレルギーであるという診断を確定させる際に最も信頼性の高い検査方法とされているのが、食物経口負荷試験です。
実際にアレルゲンである可能性が疑われる食品を摂取して症状が表れるかを調べる検査です。そのため診断としては最も確実となりますが、アレルギー症状が表れる可能性もあります。
そのため、病院内で医療スタッフの見守る中で行われます。
アレルギー反応が出る食べ物の除去(除去食)
アレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲンを特定した後は、アレルゲンが含まれる食べ物を除去した食事(除去食)を行います。
アレルゲンとなる食べ物を摂取しないというのは食物アレルギー対策の基本となります。
除去食解除を目指す
アレルゲンとなる食べ物を一切食べてはいけないのかというと、そういうわけではなく、特に乳児期に発症した食物アレルギーの場合、成長するにつれて耐性が付いて食べれるようになることも多いです。
そのため、一切の除去ではなく、アレルギー反応が出ない程度の少量を食べて徐々にアレルギー反応が起こらないように耐性を付けていき、除去食解除を目指していきます。
ただし、除去食解除は自己判断で行ってはいけません。
必ず医師と相談しながら、医師の指示の元適切に行う必要があります。
緊急時はエピペンの使用
アナフィラキシーのような重いアレルギー症状が出た際の応急処置としてエピペンという注射液が用いられることがあります。
家族や保育園・幼稚園・学校の先生や消防士等が症状を起こした本人に代わって注射することができます。
食物アレルギーを発症しており、アナフィラキシーを起こす可能性があると診断された場合などに医療機関で処方されます。
アレルギーマーチについて
乳幼児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症し、その後、気管支喘息やアレルギー性鼻炎など次から次へとアレルギー症状が表れていくことをアレルギーマーチと言います。
食物アレルギーの症状は赤ちゃんの頃によく見られ、そのままアレルギーマーチとなるケースも多いため、アレルギーマーチの発症や進展を防ぐことが医療業界の課題となっています。
まとめ
残念ながら現時点では食物アレルギーを予防する方法は確立されていません。
これからも研究が続けられていき新たな発見などがあると思われますが、今の時点ではアレルゲンの皮膚感作から守るためにスキンケアをしっかりと行うこと、アレルギー症状が見られた場合は、早急に医療機関を受診することが大切です。
食物アレルギーは重い症状が表れることもあるため、くれぐれも安易に自己判断するのではなく、専門の医療機関に相談するようにしましょう。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
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提供:株式会社SANSHIN