公開日時:2020年5月22日 最終更新日:2021/08/27
ワセリンとは?効果やベビーローションなどの保湿化粧品との違いは?
病院などでも処方されることの多いワセリンという保湿剤。
保湿剤として使用しますが、ベビーローションのような保湿化粧品とは何が違い、どのような効果があるのでしょうか?
ワセリンについて詳しくご紹介します。
ワセリンとは?
病院でも処方されることが多い保湿剤のワセリンは多くの方がご存知だと思います。
ですが、実際のところ「ワセリン=保湿剤」という認識だけしかない方も多く、誤解によって使用目的が間違っている方もいらっしゃいます。
きちんと知って正しく使いこなせるようになるために、ワセリンの正体や種類・特徴などを見ていきましょう。
ワセリンの正体
ワセリンとは石油由来の炭化水素の混合物です。
炭化水素というのは炭素(C)と水素(H)のみでできています。
ミネラルオイルやスクワランも炭化水素に該当します。
ミネラルオイルもワセリンと同様石油由来の成分で鉱物油とも呼ばれていますが、ワセリンとミネラルオイルの違いを簡単に説明しておきます。
ロウソクの原料となるパラフィンと呼ばれる固形の成分と液体で流動性のある流動パラフィンが混ざってできているのがワセリンです。
流動パラフィンのみでできているのがミネラルオイルです。ミネラルオイルはベビーオイルのベースとなることが多いです。
ワセリンが石油由来だと聞くと「肌に良くないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、石油由来だからお肌に良くないわけではありません。
石油由来のイメージが悪い理由としては、以前に石油からワセリンやミネラルオイルなどを精製する際の精製度が低く、不純物が多く含まれており、不純物がお肌に悪影響を与えていたことがあり、その際のイメージが残っているからです。
近年では精製度が高くなり、不純物をほとんど含まないものを作れるほど技術が発達していますので、石油由来でもお肌に優しい成分を作ることができるようになっています。
そんなワセリンは純度の高さによっていくつかの種類に分けられています。
ワセリンの種類
ワセリンの種類としては下記の2種類があります。
- 黄色ワセリン
- 白色ワセリン
黄色ワセリンは純度が白色ワセリンより低く、黄色がかった色をしたワセリンです。
一般的に病院などで処方され、ワセリンと呼ばれる場合は白色ワセリンを指します。
ワセリンよりもさらに不純物を取り除いた純度の高いものがあります。それが下記の2つです。
- プロペト
- サンホワイト
白色ワセリンより純度の高いものがプロペト、プロペトからさらに不純物を取り除き純度を高めたものがサンホワイトです。
ワセリンに似た名前のヴァセリンという保湿剤もあります。
ワセリンとヴァセリンの違いは特になく、ユニリーバ社が化粧品扱いで販売しているワセリンの商品名がヴァセリン(Vaseline)です。
ちなみに日本薬局が提供しているワセリンは第3類医薬品に該当します。
ワセリンの特徴
ワセリンの特徴としては炭化水素なので水に馴染まないということが挙げられます。
もちろん水分も含んでいません。
そして、ワセリンは抗炎症効果や抗菌作用といった植物オイルなどが持つような特有の効果はありません。
お肌の表面にワセリンを塗ることで水分を通さないので、お肌の潤いを閉じ込めるため、高い保湿力があります。
また高い保護力があり、外からの刺激や物質の侵入からお肌を守ってくれます。
ワセリンのお肌への刺激につきましては、不純物を含まず純度が高ければ高いほど刺激が少なくなります。
そのため、お肌へのやさしさは、
サンホワイト>プロペト>白色ワセリン>黄色ワセリン
といった具合にサンホワイトが最もお肌にやさしいです。
敏感肌のような特徴を持つ赤ちゃんのお肌や皮膚が薄くなっている顔などデリケートな部位に使用する場合はプロペトが処方されることが多いです。
油と言えば酸化しやすいことで知られていますが、ワセリンは純度が高ければ高いほど酸化しづらいという特徴もあります。
ワセリンとベビーローションなど保湿化粧品との違い
ではワセリンとベビーローションなどの保湿化粧品とでは何が異なるのでしょうか?
ワセリンは油分100%で水分を含みません。
そのため、お肌に潤いを浸透させるなどの効果はありません。
あくまでもお肌の持つ水分を逃がさず保護することがワセリンの役割です。
一方でベビーローションは油分だけでなく、水や水をお肌の角質層で保持するためのヒアルロン酸などの保水成分が配合されているので、お肌に潤いを与えた上で水分を逃がさず保湿します。
ベビーローションに配合されている油性成分によってはお肌への馴染みも良く、抗炎症や抗菌効果がある場合もあります。
ワセリンは鉱物油でベタベタした使用感ですが、ベビーローションの場合は配合されている油性成分次第ではありますが、植物オイルだとサラッとした使用感のものも多く、ワセリンとは違ってベビーローションの場合は配合成分によって使用感などのバリエーションが豊富です。
単純なお肌の水分を逃がさない保湿効果の持続力でいうとワセリンの方がベビーローションよりも高くなります。
ベビーローション以外の保湿化粧品としてはベビークリームやベビーバーム、ベビーオイルなどがありますが、ベビーローションよりも油分比率が高いのがベビークリームでさらに油分が多いのがベビーバーム、油分だけで作られているのがベビーオイルとなります。
ベビーオイルもミネラルオイルなのかホホバオイルなどの植物オイルなのかによって使用感が異なります。
ワセリンとミネラルオイルはどちらもパラフィンでよく似ていますが、ミネラルオイルは液体の流動パラフィンでワセリンは固形と流動パラフィンの混合物なのでワックス状です。
そのため、ワセリンはどちらかというとベビーバームの使用感と近くなっています。
ワセリンとベビーローションは併用しても問題ない!?
ワセリンとベビーローションを併用するのは問題ありません。
問題はありませんが、ワセリンは油分、ベビーローションは水分と油分をバランス良く補うものであり、どちらも保湿に用います。
普段使いにはわざわざベビーローションとワセリンを併用して使う必要もなく、基本的にはベビーローションだけの使用がおすすめです。
ベビーローションだけではお肌の乾燥がどうしようもないという場合にはワセリンを重ね塗りして保湿効果を高めるといった使い方が良いでしょう。
先ほどもお伝えしましたが、ワセリンにはお肌に潤いを与える効果はありません。
お肌の表面を覆って潤いを逃がさないようにするので、お肌が自力で潤いを生み出すサポートにはなります。
ワセリンを塗ったのにお肌の水分量が増えないと悩まれる方もいらっしゃるようですが、そもそもワセリンではお肌に水分を与えることができません。
お肌自体の乾燥した状態にすぐにアプローチをしたいのであれば、ワセリンではなく潤いも補えるベビーローションを使いましょう。
まとめ
ワセリンはお肌の表面を保護し、お肌の水分を逃がさないという役割を持つシンプルな保湿剤です。
純度によって種類があり、純度が高ければ酸化しづらく、安全性も高くなります。
そのため、使う部位によって処方されるワセリンの種類が異なることが多いです。
一方でワセリンはお肌に潤いをもたらす効果はなく、水分と油分をバランスよく補うベビーローションとは異なります。
ベビーローションとワセリンを併用するのは問題ありませんが、違いを理解し適切に使い分けたり、併用したりすることが大切です。
》ドルチボーレが考えるベビースキンケアの役割と製品に込めた想い
提供:株式会社SANSHIN