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公開日時:2015年4月16日 最終更新日:2021/08/27

【医師監修】乳児湿疹の種類と原因からわかる適切なケア

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清水なほみ医師

この記事の監修ドクター

清水なほみ医師

<監修者プロフィール>
2001年広島大学医学部医学科卒業
中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会
▼ポートサイド女性総合クリニック
http://www.vivalita.com/
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子供の乳児湿疹でお悩みではありませんか?
赤ちゃんのお肌に突然現われた湿疹にお悩みのママのため、乳児湿疹の種類や原因、対策など乳児湿疹に関する皆様の知りたい情報についてまとめました。

乳児湿疹とは?

乳児湿疹とは?

赤ちゃんのお肌にできる湿疹の総称を乳児湿疹と呼びます。
湿疹というのは皮膚炎のことで、皮膚炎はお肌に起こる炎症を指します。

乳児湿疹は乳幼児湿疹乳児性湿疹と呼ばれることもあります。
乳児湿疹を英語で表すと「infantile eczema」や「baby eczema」となります。

乳児湿疹のような肌トラブルはお肌が最も未熟な新生児期に多く、約半分~70%くらいの割合の新生児が経験しており、また、新生児期の肌トラブルは女の子よりも男の子に多いという報告もあります。

早い赤ちゃんだと1ヶ月検診の前から症状が出る場合があり、1ヶ月検診の際に医師から乳児湿疹だと言われた経験のある方も多いことでしょう。

乳児湿疹の症状が出ないにこしたことはありませんが、赤ちゃんには肌トラブルがつきものなので、予防も治療もしっかりと対応できるようにしておきましょう。

乳児湿疹の分類

乳児湿疹の分類

乳児湿疹は症状の表れ方や症状の続き期間などから次の2つに分類することができます。

  • 良性型…湿疹同士の間が離れていて新生児ニキビのように通常1~2週間で治まるような乳児湿疹
  • 慢性型…赤みや湿疹同士がくっつくなどが見られ、症状が長引いて後々アトピー性皮膚炎と診断されるような乳児湿疹

乳児湿疹の種類

乳児湿疹の種類

乳児湿疹は赤ちゃんのお肌にできる湿疹を一括りにした呼び方であり、実際には様々な湿疹の種類があります。

赤ちゃんのお肌に起こりやすい主な湿疹を見ていきましょう。

新生児ニキビ

新生児ニキビ
ニキビの正式名称をざ瘡(ざそう)と呼ぶため、新生児ざそうとも言われます。
産まれてすぐの新生児期に起こりやすい湿疹で、皮脂とアクネ菌が原因となります。
新生児期の過剰な皮脂分泌はお母さんのお腹の中にいた頃受けていた女性ホルモンの影響と考えられています。

乳児脂漏性湿疹

乳児脂漏性湿疹
新生児期から生後3ヶ月頃の期間に多く見られる湿疹です。
うろこのような白いフケや黄色や茶色のかさぶたのようなものが表れます。

汗疹(あせも)

汗疹(あせも)
汗をよくかく夏に多く見られる湿疹です。
多量の汗が汗腺に詰まることや、汗で増殖した皮膚常在菌などが原因と考えられています。

おむつかぶれ

おむつかぶれ
オムツとお肌の接触部や股周辺にかぶれを起こす症状です。
かぶれとは何らかの物質がお肌に触れることで生じる赤い腫れや湿疹を指します。

おむつかぶれはオムツとお肌の擦れやオムツ内環境の悪化が原因と考えられています。
一般的なおむつかぶれとは違って、カビによるカンジダ性オムツかぶれ(乳児寄生菌性紅斑)もあります。

よだれかぶれ

よだれかぶれ
ヨダレの多い赤ちゃんに見られるお肌のかぶれです。
垂れてきたよだれを拭き取ることを繰り返していると口周りのお肌の潤いが奪われ、お肌のバリア機能が低下します。

バリア機能が低下したお肌には涎そのものや食べ物のカス、ミルクや母乳などがかぶれの原因となります。

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎
お肌に何かの物質が触れることで生じるかぶれ全般を接触性皮膚炎と言います。
おむつかぶれやよだれかぶれも接触性皮膚炎の一種です。
よく見られる接触性皮膚炎の原因として化粧品・洗剤など化学物質の刺激、毛虫などの昆虫やウルシのような植物による毒性、ペット(犬猫)の毛やダニ、外出時に飛び交っている花粉などによるアレルギーなどがあります。
お肌への当たり方やよだれが染み込む等によって抱っこ紐が原因となるケースもあります。

食物アレルギー

食物アレルギー
粉ミルクや離乳食が始まった際の食べ物のアレルギーが原因で起こる湿疹です。蕁麻疹や下痢、アナフィラキシーショックなどが起こる場合もあります。

3大アレルゲンの「牛乳・卵・大豆」に「小麦・米」を加えた5大アレルゲンと呼ばれる食品はアレルギーの原因となりやすいです。

最近はよだれかぶれと食物アレルギーの関係性が注目されてきています。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎
出たり消えたりを繰り返す乳児湿疹はアトピー性皮膚炎である可能性があります。
アトピー性皮膚炎は乳児湿疹とは区別されることが多くアレルギー性の病気の一種と見なされています。
ただし、乳児期の赤ちゃんの場合は乳児湿疹との見分けが難しく、日本皮膚科学会によって作成されたアトピー性皮膚炎診療ガイドラインによると、

  • 1.掻痒[かゆみ]
  • 2.特徴的皮疹と分布[左右対称・年齢による特徴(乳児期は頭や顔から始まり体などに広がる)]
  • 3.慢性・反復性[乳児では2ヶ月以上続く、治っては再発を繰り返す]

が判断基準として挙げられます。
アトピー性皮膚炎は原因や発症メカニズムが解明されていませんが、乳児湿疹の場合は原因が特定されているといった違いがあります。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は早ければ生後1~2ヶ月頃から見られますが、診断がつくのは体に広がりだす生後3~4ヶ月頃からといったケースが多いようです。

アトピー性皮膚炎は夏は汗やプールの塩素、冬は乾燥や熱い温度の風呂などで悪化する可能性があるため注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の治療にはステロイドがよく使用されます。
ステロイドの副作用から脱ステロイドによる治療を望むご両親が増えており、医師によってもステロイドに対する考えは異なります。

また、保湿剤を使っているとお肌が保湿剤に依存し、お肌が持つ保湿機能が衰えるという考えから生まれた「脱保湿」はアトピー性皮膚炎においては避けるべきと考えられています。

乾燥性湿疹

乾燥性湿疹

赤ちゃんのお肌はおよそ生後3ヶ月から皮脂不足となっていき、生約4ヶ月や5ヶ月頃からお肌の乾燥が目立つようになります。

お肌が乾燥すると皮膚が硬くなり、ひび割れを起こしたり、皮がめくれ出します。
次第に小さなブツブツや痒みが生じ、悪化すると赤みや水ぶくれといった症状が表れます。

このようなカサカサとしたお肌の乾燥から生じる湿疹を乾燥性湿疹、又は乾燥性皮膚炎と言います。

乳児湿疹の原因

乳児湿疹の原因

乳児湿疹は乾燥しやすくバリア機能が未熟な赤ちゃんならではのお肌の特徴に加え、下記のような3つの理由が原因で起こりやすくなります。

  • お肌の汚れや触れた物質による刺激やアレルギー
  • 紫外線や空気の乾燥や季節による寒暖差などお肌の乾燥につながる要素
  • 遺伝的要因や母親からのホルモン移行

それでは、上記で紹介した乳児湿疹の種類ごとの原因を見ていきましょう。

新生児ニキビ 皮脂/アクネ菌
乳児脂漏性湿疹 在胎週数/皮脂/マラセチア菌
汗疹(あせも) 汗/皮膚常在菌
おむつかぶれ おむつとの摩擦/汗/皮脂/うんち/おしっこ/カンジダ菌
よだれかぶれ 涎/食べカス/ミルク/母乳
接触性皮膚炎 一部の金属類/毛虫などの一部の昆虫/漆などの一部の植物 /花粉/ホコリ/ダニの死骸/一部の化学物質/衣類やタオル(素材によって)/涎/排泄物/物理的刺激
食物アレルギー 牛乳・卵・大豆など食品
アトピー性皮膚炎 原因未解明(アレルギー素因の遺伝/卵アレルギーとの関係/化粧品に含まれるアレルゲンとなる成分/黄色ブドウ球菌などが関わっているのではないかと考えられている)
乾燥性湿疹 乾燥(精神面や体調など内的要因と空気の乾燥など外的要因)

乳児湿疹の症状

乳児湿疹の症状

次に乳児湿疹の種類別症状(見た目や痛みや痒みの有無、注意点など)について見てきます。

  見た目 自覚症状 注意点
新生児ニキビ ブツブツ(ポツポツ)した赤みのある湿疹 痒みはなく、化膿すると痛みあり 白いプツプツとした湿疹から赤い炎症に変わり、化膿すると黄色い膿が出る
乳児脂漏性湿疹 白いうろこ状のフケや黄色や茶色のかさぶたや赤みを帯びた隆起が見られる 通常、かゆみや痛みはなし。マラセチア菌が原因の場合かゆみあり。臭いが生じる場合もあります。 主に首より上の皮脂分泌が多い箇所に表れます。かゆがる素振りがないか観察しましょう。
汗疹(あせも) 水泡や小さいプツプツが表れます 痒みが生じることが多いです。 汗が溜まりやすい箇所に表れ、かゆみによって掻きむしると菌感染を起こしジュクジュクし出すこともあります。また、あせもは悪化すると「あせものより」という菌感染によって痛みのあるおできができる場合があります。
おむつかぶれ オムツとの擦れが生じる箇所は皮膚がめくれ血が滲むことがあります。股周辺はおしっこやうんちなどが刺激となり、ただれたり、赤くかぶれがちです。 痒みや痛みが生じやすいです。痛いと入浴時に石鹸やベビーソープが滲みる場合があります。 カンジダ菌が原因となるケースもあり、重症化することもあります。
よだれかぶれ 口の横など口周りがカサカサとカサつき、そこに食べカスやよだれ、ミルクなどが付着することでかぶれが生じます。 痒みやひりひり感が生じる場合があります。 食べカスなどに含まれるアレルゲンと食物アレルギーの関係が注目されています。
接触性皮膚炎 かぶれ・ブツブツ・赤み・腫れ・蕁麻疹(じんましん)など 痒みや痛み 物理的な刺激の場合よりも、アレルギー反応などの場合の方が症状が悪化しやすい
食物アレルギー 原因となる食品を摂取して2~3時間以内に症状が出る。重度の場合はアナフィラキシーショックとなる場合も。 痒みや呼吸困難など アレルギーの症状は個人差があり、アナフィラキシーショックは命にかかわります。
アトピー性皮膚炎 カサカサ・ガサガサなどお肌のカサつきが目立つ。掻きむしると肌が傷つきじゅくじゅくしたり、汁(浸出液=透明や黄色がかった液体)が生じたり、膿がでるなど酷い状態になりやすい。症状は左右対称に表れやすい。 強い痒み 乳児期に発症した場合、頭や顔などから始まり、徐々に身体全体に広がっていく。4ヶ月以上の慢性的な湿疹が特徴。
乾燥性湿疹・皮膚炎 乾燥によって肌がカサカサ・ザラザラし、ひび割れや皮めくれを起こす。その後、小さなブツブツが出だし、ひどい状態になると水ぶくれが生じる。 痒みが生じやすい 乾燥による症状は放置しているとどんどん悪化する悪循環となりやすい

乳児湿疹の症状が出やすい部位

乳児湿疹の症状が出やすい部位

次は乳児湿疹の種類ごとの症状が出やすい部位についてみていきます。

新生児ニキビ 顔(おでこ・頬)
乳児脂漏性湿疹 頭(頭皮)・顔(おでこ・眉・まぶた・耳周り・耳の中・鼻周り)
汗疹(あせも) 首回り・背中・腕の関節の内側・足の関節の裏側・おしり
おむつかぶれ おしり回り
よだれかぶれ 口周り(特に、口の横)
接触性皮膚炎 全身の中の接触部分・花粉の場合は目元など目の周り
食物アレルギー 顔・胸・お腹
アトピー性皮膚炎 顔・首・体(脇の下・胸元・腹部)・手足の関節部分など全身
乾燥性湿疹 手足などの露出の多い箇所・頬などの皮膚が薄い箇所

乳児湿疹はいつからいつまで?

乳児湿疹はいつからいつまで?

子供の肌にいきなり湿疹ができてお悩みのご両親も多いです。
出来始める時期は赤ちゃんによって個人差があり一概には言えませんが湿疹の種類ごとに分けて、乳児湿疹のできやすい時期を見ていきましょう。

種類\月齢 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月 11ヶ月 12ヶ月
新生児ニキビ                
乳児脂漏性湿疹                
乾燥性湿疹        
食物アレルギー          
よだれかぶれ    
おむつかぶれ
汗疹
接触性湿疹
アトピー性皮膚炎    

上記の表を少し補足しておきます。

新生児ニキビと乳児脂漏性湿疹は生後2週間・3週間から生後3ヶ月くらいまでの皮脂分泌が盛んな時期に起こりやすいです。

食物アレルギーは離乳食が始まる時期に多くなりがちです。

よだれかぶれはよだれの量に比例して生じやすくなります。涎(よだれ)の量は1歳~2歳にかけて一般的に落ち着いていきます。

おむつかぶれについても基本的におしっこやうんちなどの排泄物の量・回数に比例しやすいため、月齢を重ねていくにつれて起こりやすくなります。

あせもや接触性湿疹は年中注意が必要です。

アトピー性皮膚炎は早ければ生後2ヶ月頃から兆候が見られ、4ヶ月以上湿疹が続く際に診断されることが多く、治ったと思っても繰り返し発症します。

アトピー性皮膚炎の症状については、1歳~2歳、4歳~5歳の時期に改善したと感じるママやパパが多く、次に3歳~4歳の時期が多いというデータもあります。

季節との関係

季節との関係

乳児湿疹と季節との関係について見ていきます。

地域によって異なりますが、花粉による接触性皮膚炎が生じやすい
高温多湿なため、汗をかきやすくなり、汗疹やおむつかぶれが生じやすくなります。エアコンの使い方によってはお肌の乾燥を招き乾燥性湿疹にもつながります。
地域によっては花粉による接触性皮膚炎、また寒暖の差があるため、肌が乾燥しやすくなり、乾燥性湿疹にも注意が必要です。秋冬生まれの赤ちゃんは肌トラブルが多くなると言われていますが、空気の乾燥や寒さが関係しています。秋生まれの赤ちゃんの場合は生後3ヶ月頃になり皮脂分泌が減少し乾燥し始める時期に冬を経験するため、より肌トラブルリスクが高くなると言われています。
外気の乾燥・冷気によってお肌が乾燥しやすくなるため、乾燥性湿疹が起こりやすいです。

乳児湿疹と乾燥肌の関係

乳児湿疹と乾燥肌との関係

乳児湿疹と乾燥肌には大きな関わりがあります。
というのも、乾燥肌が健やか肌と大きく異なる点としてバリア機能の低下があるからです。
乾燥肌の場合、バリア機能が低下していることにより、外部からの刺激を受けやすくなり、アレルゲンなどの異物の侵入も許しやすくなります。

母乳との関係

母乳との関係

母乳は血液を元に作られるため、ママの食事から摂取した栄養が影響してきます。
ただし、新生児ニキビや乳児脂漏性湿疹、汗疹などの乳児湿疹の多くは母乳が原因ではなく、新生児期特有の皮脂分泌の多さや赤ちゃんならではの汗の多さが原因となります。
関係があるとすれば、食物アレルギーですが、母親の食事内容と赤ちゃんのアレルギーには因果関係はないと考えられます。例えば、母親がチョコレートを食べると良くないといった内容の記事も見かけますが、因果関係が証明されているわけではありませんので過敏になる必要はありません。

乳児湿疹はうつる?

乳児湿疹はうつる?

基本的に乳児湿疹はうつりません。
ただし、症状が悪化し、菌感染などにより「とびひ」などほかの感染性疾患を伴った場合にはうつる場合があります。

感染症による湿疹との違い

感染症による湿疹との違い

一般的な乳児湿疹と感染症による湿疹の違いについて見ていきましょう。
感染症とは菌やウイルスが体内に感染することで起こります。
中には湿疹を伴う感染症もあります。代表的な湿疹を伴う感染症を紹介します。

病名 病原
水痘(水ぼうそう) 帯状疱疹ウイルス
伝染性紅斑(リンゴ病) ヒトパルボウイルス19
突発性発疹 ヒトヘルペスウイルス6型
伝染性膿痂疹(とびひ) 黄色ブドウ球菌

乳児湿疹の場合は熱や風邪の症状は表れませんが、水ぼうそうの場合は発熱、リンゴ病の場合は風邪のような症状、突発性湿疹の場合は高熱などの症状が併せて見られることが多いです。

とびひの場合は汗疹やアトピーなど痒みを生じる湿疹で掻きむしり出血することで感染するケースが多いです。

突発性湿疹は生後6ヶ月から生後1歳半くらいまでの期間に発症することが多い感染症です。

乳児湿疹の対策

乳児湿疹の対策

乳児湿疹の対策については2つの対処法があります。

乳児湿疹ができないようにスキンケアで健やか肌を保つという予防と、できてしまった乳児湿疹の治療です。

この2つは分けて考える必要がありますが、多くのママやパパはごちゃ混ぜになっていることが多く、すでにできてしまった乳児湿疹の治療をスキンケアで行おうとするケースが多いですが、これは正しい対処ではありません。

予防と治療についてそれぞれ見ていきましょう。

乳児湿疹の予防

乳児湿疹の予防

乳児湿疹からお肌を守るためには日々のスキンケアが欠かせません。
乳児湿疹を防ぐには健やかなお肌を保つことが大切となります。

健やか肌を保つために必要なケアを見ていきましょう。

お肌を清潔に

お肌を清潔に

基本となるのは一日のお肌の汚れをリセットする沐浴やお風呂です。
洗い方としては一日一回、石鹸やベビーソープを使って洗ってあげましょう。

夏場など汗が気になる場合に洗う回数を増やすこともあると思いますが、一日に何度もベビーソープなどを使用するとお肌の乾燥を招く恐れがありますので、ベビーソープなどの使用はなるべく1回に留め、それ以外はぬるま湯で洗うようにしましょう。

使用するお湯の温度も38℃前後くらいのぬるま湯がおすすめで、熱いお湯を使うとお肌の皮脂を必要以上に落とし乾燥につながります。

新生児期は目や口にベビーソープなどが入ってはいけないと顔を洗う際の使用に抵抗があるママやパパもいらっしゃいますが、生後3ヶ月くらいまでの期間は顔や頭の皮脂分泌が多い時期なのでしっかりとベビーソープを使って洗顔してあげましょう。

入浴時だけでなく、おむつ交換の際にはお尻を濡らしたガーゼなどでキレイに拭き取り、しっかりと乾かしたうえで新しいおむつを付けてあげましょう。

また、赤ちゃんは汗っかきなので、吸水性や通気性に優れた肌着や寝具を選び、汗が目立つ場合には拭き取ってあげるようにして汗や皮脂などお肌の汚れを放置しないことがポイントです。

全身の保湿ケア

全身の保湿ケア

お肌のバリア機能が未熟で乾燥しやすい赤ちゃんのお肌は保湿しないと乾燥を招くため、しっかりと全身保湿剤でケアをしてあげましょう。

赤ちゃんの全身保湿ケアが重要な理由としては国立成育医療研究センターの研究による下記の報告が参考となります。

成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試験で、新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。

引用元:世界初・アレルギー疾患の発症予防法を発見

ポイントは「生まれて間もない新生児期」から「全身」の保湿ケアを行うことです。

お肌のバリア機能が未熟な赤ちゃんのお肌には全身保湿ケアが欠かせませんが、化粧品に含まれる成分がアレルゲンとなり、経皮感作によって食物アレルギー発症につながるという報告もあるため、配合されている全成分をチェックし、アレルゲンとなりやすい成分の配合の有無を確認するようにしましょう。

近年、特定の化粧品を使用する前は食物アレルギーの既往が無かったのに、化粧品使用後に、含有成分に関連した食物アレルギーを新たに発症された方が散見されています。

引用元:Q&A | 藤田医科大学医学部 アレルギー疾患対策医療学講座

保湿ケアに使用する保湿剤には、ベビーローションベビークリームベビーオイルなどがあります。
病院や薬局で手に入る軟膏としてはワセリンプロペト(白色ワセリン※ワセリンの純度を高めたもの)・ランシノーなどが有名です。※ヴァセリンはワセリンに似ていますがユニリーバ社の登録商標です。

ランシノーはラノリン100%の軟膏で、ラノリンというのは動物由来のロウです。
ワセリンは石油由来の油性成分です。赤ちゃん用に純度を高め、柔らかい使用感となったベビーワセリンもあります。

ベビーローションは大人でいうところの化粧水や乳液、ベビークリームは保湿クリーム、ベビーオイルは保湿オイルに該当します。
ベビーオイルは馬油100%のようなタイプもあれば、複数の油性成分を混ぜているタイプもあります。

1日何回保湿すれば良いかの目安は、入浴後すぐに1回を最低限とし、乾燥が気になる場合には都度保湿ケアしてあげると良いでしょう。できれば、保湿の前にお肌を拭き取るなど清潔にしてから塗ってあげましょう。

ワセリンやスクワランなどのオイル100%の保湿剤を使用する場合、お肌に潤いを与える成分が配合されていませんので、前ステップとして、コットンに化粧水を染み込ませてパックし、お肌に潤い補給してあげるとより保湿効果が高まります。

ベビーローションやベビークリームには油性成分だけでなく、お肌を潤す成分が配合されていることがほとんどです。

お肌が乾燥するとお肌の状態が悪化し、皮フトラブルにつながりやすくなりますので、注意しましょう。

紫外線対策

紫外線対策

日光を浴びるとビタミンDが生成されるため、必ずしも悪いものではありませんが、日焼けするほど長時間紫外線を浴びることは表皮の乾燥を招くだけでなく真皮にまでダメージを与え、将来的なお肌のシワやシミを招く原因ともなります。

赤ちゃんを連れて外出する際はなるべく日差しの強い時間帯を避けて出かけましょう。

長時間外出する場合、SPF○(○には数字が入ります)やPA○(○には+が並びます)といった紫外線防止効果の目安を参考にUVケア化粧品を選び、しっかりと対策してあげましょう。

海や川などで遊ぶ場合はウォータープルーフタイプのUVケア化粧品を選ぶと良いでしょう。

室温・湿度調節

室温・湿度調節

高温多湿な夏や乾燥して寒い冬でも快適に暮すために欠かせないのがエアコンです。

ただし、エアコンは設定温度や使い方によって室内の空気の乾燥を招いたり、暑過ぎ・寒過ぎを招く場合があります。

室内の空気が乾燥するとお肌の潤いが奪われ乾燥しやすくなりますので、加湿器などを上手に使って快適な湿度(50~60%)を保つようにしましょう。

暑過ぎると多量の汗をかき、汗疹につながりやすく、寒過ぎは血行不良を招きお肌の状態を悪化させる原因となります。

夏は27℃前後、冬は23℃前後を目安に室温を設定し、衣類や寝具で調整してあげると良いでしょう。

衣類の素材を見直す

衣類の素材を見直す

お肌は個人差があるため、赤ちゃんによっては肌着や服などの衣類が負担となるケースがあります。

赤ちゃんのお肌はとてもデリケートなので、肌着や衣類などお肌に触れるものの素材には気を配ってあげましょう。

素材には綿ウール合成繊維などがあります。

赤ちゃんの場合は、肌ざわりが良く、吸水性に優れる綿100%などがおすすめです。
ガーゼも綿でできていますが、織り方が異なります。ガーゼも肌ざわりよく吸水性・通気性に優れています。

乳児湿疹の治療

乳児湿疹の治療について

乳児湿疹ができたら、一番に考えなければいけないのは治療です。

乳児湿疹は痒みや炎症を伴う湿疹であり、痒みや炎症を抑えるには薬を用いた治療が必要となります。

特に、痒みのある湿疹は放置すると掻きむしってしまい悪化していく可能性があるため、痒みを抑える治療を早めに行うことが大切です。

薬には病院や薬局で処方される塗り薬やドラッグストアなどで販売されている市販薬がありますが、大切なことは医師や薬剤師にしっかりと相談して適切な薬を使用することです。

また、治療は途中でやめてしまうとぶり返す可能性もありますので、治るまで続けることが大切です。

受診のタイミング

医療機関を受診するタイミング

医療機関を受診するタイミングとしては、

  • 発熱などの他の症状を伴う湿疹の場合
  • 湿疹が1週間以上治らない場合や2~3日で悪化している場合
  • かゆそうにしている場合(不機嫌が改善しない場合)

などが挙げられますが、治療は早期であるに越したことはありませんので、迷ったら受診しましょう。

自己診断して症状を長引かせたり、悪化させることが一番よくありません。

何科を受診?

何科を受診?

乳児湿疹ができた時に受診すべき診療科は

  • 小児科
  • 皮膚科
  • 小児皮膚科
  • 小児科アレルギー科

です。
基本的にどの科を受診しても良いのですが、湿疹以外の発熱などの症状がある場合は小児科を受診すると良いでしょう。

薬は正しく使う

薬は正しく使う

病院や薬局で処方されたり、ドラッグストアで購入したりする薬ですが、用法・用量を守って正しく使うことが大切です。

病院で処方された場合は、医者や薬剤師の指示通りに薬を使用しましょう。

使いだして良くなった時点でやめて良いと言われている場合を除いては、途中で薬をやめると再発や、いつまでも症状を繰り返すなど治りを遅くする原因となります。

よく処方される薬

病院で処方される薬はステロイド系と非ステロイド系の治療薬に分かれます。
ステロイドとは副腎皮質ホルモンのことで、消炎効果があるため、痒みや炎症を抑えてくれる薬です。

ステロイドは強さが5段階に分かれていますが、一般的によく処方されるステロイド外用薬には次のようなものがあります。

ステロイドの種類 ステロイドの強さ
リンデロンVG ステロイド3群(Ⅲ)[強力]
デルモゾール ステロイド3群(Ⅲ)[強力]
ロコイド ステロイド4群(Ⅳ)[中程度]
パルデス ステロイド4群(Ⅳ)[中程度]
キンダベート ステロイド4群(Ⅳ)[中程度]
エキザルベ ステロイド5群(Ⅴ)[弱い]

※パルデスとキンダベートは同じ成分(パルデスはジェネリック医薬品)

同じ名前であっても、パルデスローションやパルデス軟膏、パルデスクリーム等形状が異なる場合があります。

肌がデリケートな乳幼児の場合はステロイド3群や4群の処方が多く、顔に塗る薬の場合には4群が多くなります。

非ステロイド系では

  • アズノール

ステロイドも非ステロイドも痒みや炎症といった症状を抑えるための薬です。

ステロイドの場合、副作用が問題視されがちですが、非ステロイドであっても薬には少なからず副作用がつきものです。

他にも保湿剤としてや血行促進目的としてよく処方される薬として

  • ヘパリン類似物質(ヒルドイドやビーソフテンのこと)

があります。

爪のお手入れ

痒みが伴う湿疹の場合、赤ちゃんは夜間やママやパパが目を離している間に掻いてしまうことが多いです。

せっかく乳児湿疹が治りかけていても引っ掻くと肌が傷つき、お肌の状態が悪化します。

掻きむしる際に爪が伸びていると余計に肌を傷つけてしまい、とびひなどにつながる為、爪は短く整えておいてあげましょう。

まとめ

乳児湿疹の種類・原因・対策についてのまとめ

乳児湿疹にならないよう赤ちゃんのお肌を守る一番の対策はお肌を健やかな状態に日々保つよう努めることです。そのためには毎日のスキンケアが欠かせません。

スキンケアは化粧品を使ったケアだけに限りません。赤ちゃんのお肌に触れるものはお肌への負担となりえるため、必要に応じて見直してあげましょう。

乳児湿疹ができてしまった場合も、種類がたくさんあり、症状によってはアトピーやその他の皮膚疾患との見分けが難しい場合があります。

種類によっては症状が表れる部位などで判断できる場合もありますが、思っていた湿疹とは異なり症状が長引いてしまうケースもありますので、自己診断に頼らず、迷ったら医療機関を受診しましょう。

赤ちゃんのお肌を乳児湿疹から守る場合も、できてしまった乳児湿疹を治療する場合も、しゃべれない赤ちゃんに代わって、乾燥していないか、症状が拡がったり、悪化していないかといった、大人の観察が大切です。

特に治療中は薬が効いているかどうか経過を観察し、症状の改善が見られなかったり、余計に悪化するなどの変化があれば、掛かりつけの医院にその旨をしっかりと伝えられるようにしておきましょう。

》ドルチボーレが考えるベビースキンケアの役割と製品に込めた想い

古家後健太

この記事を書いた人

古家後健太

<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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提供:株式会社SANSHIN

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