公開日時:2015年5月8日 最終更新日:2019/09/18
過剰な皮脂はどんな肌トラブルを起こす?脂性肌について
ギトギト・テカテカとしたオイリー肌のことを脂性肌と呼びます。
過剰な皮脂分泌によってオイリー肌となってしまうわけですが、脂性肌を放っておくと肌トラブルにつながります。
脂性肌の特徴や脂性肌によって起こりやすい肌トラブルについてご紹介します。
脂性肌とは?
脂性肌というのは、お肌自体の潤いが保たれた状態で、皮脂分泌だけが過剰となっているお肌を言います。
ただし、脂性肌の多くは実は乾燥性脂性肌、別名インナードライ肌である可能性が高く、その場合はお肌自体は乾燥しているけれど、皮脂分泌が過剰でテカテカしているため、お肌が乾燥しているように見えない状態です。
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≫インナードライ肌について
通常の脂性肌の場合は、お肌自体は潤っているため、過剰な皮脂に対しケアを行うという流れとなり、その場合には過剰な皮脂をしっかりと洗い流すという、いわゆる皮脂対策がメインとなります。
一方で見た目は脂性肌と同じであるインナードライ肌の場合は、お肌自体の潤いが不足しているため、皮脂対策として洗う回数を増やしたり、洗浄力の高い洗浄料を使うことが逆効果となる場合があります。
また、顔の部位の中でもおでこや鼻周辺のTゾーンはテカテカのオイリー肌で口周りや頬周辺などのUゾーンはカサカサ肌というような脂性肌と乾燥肌が入り混じっている状態のお肌を混合肌と言います。
乾燥肌と脂性肌どちらも存在しているのでケアの仕方が非常に重要になります。
脂性肌を引き起こす原因
それではどのようなことが原因で脂性肌になるのでしょうか?
脂性肌につながる原因を見ていきましょう。
間違ったスキンケア・スキンケア不足
ご自身のお肌の状態に合っていないスキンケアを行っているとお肌が乾燥し、それに伴い皮脂分泌が過剰になるケースがあります。
メカニズムとしては、次のような流れとなります。
お肌のバリア機能は本来、皮脂とお肌の表面にある角質層の潤いで保たれており、擦り過ぎ、皮脂の落とし過ぎ、洗い過ぎなどを行っていると角質層の潤いが失われます。
お肌のバリア機能を保つ上で角質層の潤いは欠かせないものなので、お肌にとっては角質層の潤いが失われることは大事件です。
そのため、お肌は、お肌の潤いをそれ以上失わせないように、お肌の潤い不足をカバーするように応急処置的に皮脂分泌を加速させます。それによって脂性肌となります。
また、スキンケア不足もお肌の乾燥を招く場合があり、上記と同様のメカニズムでお肌は皮脂分泌を促し、脂性肌となります。
偏食や油の多い食生活
皮脂分泌の量と食生活は大きく関係しています。
フライドポテトやコロッケなどの揚げ物や、スナック菓子などを毎日食べていたり、食べ過ぎたりといった食の偏りや過剰摂取が続くと脂性肌になりやすいです。
食べたものは胃などで消化され、腸で吸収されます。
食べ過ぎた場合は上手に消化吸収されずに排出されたり、偏った栄養が血液に取り込まれ体内に運ばれます。
基本的に身体はバランスを取ったり、もしもの時に備えたりといった働きをしますので、摂り過ぎた栄養は排出されたり、蓄えられたりします。
そのため、栄養バランスの良い食事を適度な量摂取するということが過剰な皮脂分泌を防ぐために重要です。
自律神経の乱れ
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
朝・活発な活動をしている時は交感神経が優位に働き、夜・安静時・リラックス状態や睡眠時は副交感神経が優位となります。
交感神経は皮脂分泌を促す特徴があるため、自律神経が乱れ、交感神経の優位が続く場合には皮脂分泌が過剰となり脂性肌を招く場合があります。
睡眠不足
睡眠は身体の回復に欠かせません。
必要な睡眠が足りていないと身体に不調をきたす原因となります。
その一つがお肌の新陳代謝であるターンオーバーの乱れです。
ターンオーバーは早くても遅くてもいけませんが、睡眠不足はターンオーバーの乱れを招き、それによってお肌は十分な潤いを保つことができず、潤い不足を補うため皮脂分泌を促します。
また、睡眠不足の場合は自律神経に乱れが生じやすくなります。
これらの理由により、睡眠不足も皮脂分泌を過剰にする原因となります。
ストレス
ストレスも脂性肌の原因の一つです。
ストレスは自律神経やホルモンバランスの乱れを生み、過剰な皮脂の生成につながります。
日常的にストレスにさらされ、発散する機会がない場合は脂性肌になりやすいと言えます。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンの中には皮脂分泌を促す種類もあります。
- 男性ホルモンとして有名なテストステロン
- 女性ホルモンのプロゲステロン
思春期に皮脂が増えるのはテストステロンの増加が原因とされています。
ホルモンはそれぞれ役割があり、必要なものですが、バランスが乱れると皮脂分泌などに影響を与えます。
年齢による変化
年齢に応じてホルモンの分泌量に変化があり、思春期や20代の頃は皮脂分泌が多くなりますが、30代以降になると徐々に皮脂分泌が少なくなっていきます。
脂性肌によって起こりやすい肌トラブル
脂性肌が原因で起こりやすい肌トラブルといえば、ニキビです。
脂性肌の場合、過剰に皮脂が作られ毛穴の内部まで皮脂で埋まりがちです。
さらに、ターンオーバーの乱れなどが重なり、古い角質が剥がれ落ちずに溜まると毛穴を塞ぐ原因となります。
ニキビの原因菌であるアクネ菌は元々お肌に存在している皮膚常在菌の一種で、健やかなお肌の場合は酸素が苦手なため、お肌の表面ではなく毛穴に隠れて過ごしています。
ただ、一旦毛穴が詰まってしまうと内部で皮脂をエサに増殖し、炎症を引き起こします。
これがニキビのメカニズムです。
そのため、過剰な皮脂分泌状態にある脂性肌はニキビにつながりやすいのです。
脂性肌に必要なスキンケアとは?
脂性肌の過剰な皮脂がニキビにつながりやすいということもあって、脂性肌のスキンケアとして「洗浄」が挙げられることが多いです。
確かに、洗浄はお肌にとって必要なケアですが、脂性肌の場合は過剰な洗浄ケアを行いがちです。そして過剰な洗浄ケアが逆効果となるケースが多いです。
脂性肌のスキンケアとしては「洗いすぎない」ということを意識しましょう。
毎日洗顔をすること自体には問題はないのですが、「たくさん洗う」ことや「何度も洗う」ことを繰り返すことによって、お肌の乾燥を悪化させます。
そのため、お肌を洗うことだけにこだわるのではなく、洗顔料の使用は1日1回程度に留めておいて、お肌に潤いを与え保つための保湿ケアをしっかりと行いましょう。
皮脂は本来、お肌の潤いを逃がさないよう保護する役割を果たしています。
そのため、皮脂は最低限必要なものであるという認識を持ち、過剰な皮脂につながるお肌の乾燥を防ぐための保湿ケアを心がけましょう。
脂性肌におすすめのスキンケアとしては、化粧水や乳液による保湿ケアがあります。
脂性肌は油分が過剰な状態なので、クリームやオイル系の保湿化粧品よりはさっぱり・しっとりタイプの化粧水や乳液が適しています。
また、お肌に潤いを維持するための保湿成分が配合されている化粧品がおすすめです。
例えば、
- ヒアルロン酸
- アミノ酸
- PCA
- プロテオグリカン
- ポリクオタニウム-51
- グリセリン
といった保水機能に優れた保湿成分が配合されているかチェックすると良いでしょう。
まとめ
脂性肌となるメカニズムや脂性肌の特徴、脂性肌によって起こりやすい肌トラブルなどお分かり頂けたでしょうか?
脂性肌の過剰な皮脂だけをターゲットにしたスキンケアではかえって脂性肌を悪化させる場合もありますので、脂性肌の特徴をふまえて適切なスキンケアを行うことが大切です。
洗うことだけでなく、しっかりと保湿ケアを意識して行いましょう。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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