公開日時:2019年1月28日 最終更新日:2020/04/09
美肌の秘訣は肌フローラのバランスにあった!肌フローラを作る皮膚常在菌について
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美肌の秘訣はお肌の潤いと皮脂がバランスよく保たれていること。
これは間違いありませんが、実は普段は目に見えない皮膚に棲みつく常在菌も美肌作りに一役買っています。
皮膚常在菌が作る生態系を肌フローラ(皮膚常在菌叢)と言いますが、肌フローラのバランスを保つことは美肌作りには欠かせません。
肌フローラのバランスと美肌の関係について見ていきましょう。
皮膚常在菌と肌フローラについて
一般的には菌と聞くと病気などを思い浮かべ、良くないイメージを持たれるのではないでしょうか?
もちろん菌の中には悪さを働く菌もいますが、人にとって有益な働きをしてくれる菌もいます。
目には見えませんが、人の皮膚の上にも菌は棲みついているのです。
実は人の皮膚上には200種類以上もの種類の菌が棲みついているとされています。
その中でも肌トラブルや美肌に関係するとしてよく名前の挙がる代表的な菌としては、
- 表皮ブドウ球菌
- アクネ菌
- 黄色ブドウ球菌
- マラセチア真菌
が挙げられます。
ちなみに、母親の胎内にいる胎児の時には皮膚常在菌はおらず無菌状態です。出産時、母親の産道を通る時に初めて菌が棲みつくとされています。
話は変わりますが、腸内フローラという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
腸内には善玉菌と悪玉菌が存在して悪玉菌が増えすぎると腸内環境が悪化し、健康面に悪影響を及ぼすといったお話は有名です。
乳酸菌飲料などが注目を浴びるきっかけともなりました。
肌フローラにおいても同様に善玉菌と悪玉菌が存在します。
お肌における善玉菌は表皮ブドウ球菌です。
ニキビの原因菌として有名なアクネ菌は実は日和見菌と呼ばれ、普段は表皮ブドウ球菌と同じような働きをしており善玉菌なのですが、ストレスや思春期のホルモンバランスの乱れ、食生活の乱れなどをきっかけに皮脂分泌が過剰になった際には炎症を起こしニキビとなる悪玉菌に変わります。
黄色ブドウ球菌は食中毒の原因にもなる菌で皮膚の代表的な悪玉菌なのですが、とびひを引き起こしたり、アトピー性皮膚炎とも関係しているとされています。
マラセチア真菌はカビの一種で少数であれば特に問題はないのですが、増殖すると脂漏性皮膚炎を引き起こすなど悪玉菌として働きます。
これらの菌を含め数多くの菌が皮膚の上に棲みついていますが、大切なのは肌フローラを構成する菌のバランスです。
美肌と皮膚常在菌の関係
お肌の善玉菌である表皮ブドウ球菌はお肌にとってどのような役割を果たしているのでしょうか?
お肌は弱酸性に保たれているというのは多くの方がご存知のことでしょう。
実はお肌の弱酸性を保つのに欠かせないのが表皮ブドウ球菌です。
お肌が弱酸性に保たれているメカニズムを説明します。
お肌そのものが弱酸性なわけではなく、本来お肌は中性と言われています。
お肌から分泌される皮脂に含まれるトリグリセリドを表皮ブドウ球菌が分解して脂肪酸とグリセリンとなります。
脂肪酸は酸性なのでお肌は弱酸性に傾きます。そしてグリセリンはお肌の保湿に役立ちます。
弱酸性に保つことでアルカリ寄りの環境を好む黄色ブドウ球菌などの悪玉菌の増殖を防ぐことにも役立ち、さらに、表皮ブドウ球菌が皮脂から作り出す脂肪酸からは抗菌ペプチドが作り出され、悪玉菌を抑えてくれています。
つまり、トラブルなくお肌を健やかな状態に保つためには表皮ブドウ球菌が欠かせません。
肌トラブルが起こっているということはお肌に炎症などが生じているということで美肌を目指す妨げとなります。
肌トラブルを予防することは美肌を目指すうえで必須とも言えます。
表皮ブドウ球菌は善玉菌ではありますが、多ければ多いほど良いというわけではありません。
表皮ブドウ球菌も血液中に混入すると感染症を引き起こすこともあります。
要するに大切なことは肌フローラのバランスなのです。
肌フローラのバランスは人それぞれ異なる
人それぞれ肌フローラを構成している菌のバランスは異なります。
また例えば、通常、黄色ブドウ球菌は鼻の穴に多く棲みついているなど、体の部位によっても棲みついている菌のバランスは異なります。
悪玉菌が多い肌フローラの場合は肌トラブルが起こりやすく、善玉菌と悪玉菌がバランス良く棲みついているお肌はトラブルが起こりにくいといった特徴があります。
同じようなスキンケアを行っているのに人によってお肌の状態に違いが生じるのは肌フローラのバランスの違いも一つの要因と言えるかもしれません。
お肌の善玉菌を育てることを『菌活』や『育菌』とも呼んだりしますが、スキンケアをしっかりと毎日行い、ストレス発散、生活習慣や食生活の見直しなどを行ってもお肌の状態に変化が見られない場合、菌活・育菌に着目してみると良いかもしれません。
表皮ブドウ球菌を育むには?
お肌の善玉菌である表皮ブドウ球菌をバランス良く育むためには、3つのポイントがあります。
- 菌を減らし過ぎない
- 悪玉菌を優位にさせない
- 表皮ブドウ球菌が育つ環境作り
菌を減らし過ぎない
例えば、お肌を清潔にすることは大切ですが、強い洗浄力で菌を落とし過ぎることは良くありません。
通常であれば、洗うことで皮脂や菌が落とされ、一時的に中性に近いお肌のpHになったとしても、皮脂が分泌されることで元通りになります。
しかしながら、お肌の状態が良くない時などはこの通りにはならず、肌フローラのバランスが乱れやすくなります。
そのため、普段から洗い過ぎで菌を落とし過ぎないことが重要です。
悪玉菌を優位にさせない
さらに、ストレスや生活習慣の乱れ、食生活の乱れなどによってもお肌の状態が悪化し、悪玉菌を増殖させやすい環境となります。
例えば、皮脂の分泌が少なく乾燥肌状態になれば、表皮ブドウ球菌の分解によってもたらされる脂肪酸やグリセリンが減少し、弱酸性からアルカリ性よりのpHとなり、悪玉菌が活発となります。
つまり、肌フローラのバランスが乱れ悪循環へと陥っていくことになりますので、ストレスをため込まない、生活習慣を見直す、バランスの良い食生活を心がけることは悪玉菌を優位にさせないために大切です。
表皮ブドウ球菌が育つ環境作り
最後、表皮ブドウ球菌が育つ環境作りとしては、お肌を乾燥させないよう保湿スキンケアをしっかりと行うことが基本となります。
お肌は潤いを失うと応急処置として皮脂を過剰に作りがちです。
お肌の潤いは角質層の細胞間脂質や天然保湿因子によって保たれており、洗い過ぎ、ストレス、生活習慣や食生活の乱れなどによって細胞間脂質や天然保湿因子が不足すると潤いを保てなくなり乾燥肌となります。
細胞間脂質を代表する成分がセラミドで、天然保湿因子はアミノ酸、ミネラル、乳酸、尿素、PCAなどがあります。
保湿スキンケアによってお肌に水分と油分を補うことでお肌を乾燥から守り、表皮ブドウ球菌が育ちやすい環境作りにつながります。
また、ヒト由来乳酸菌(エンテロコッカスフェカリス<整肌・保湿成分>)という表皮ブドウ球菌を育て、肌フローラのバランスを整えてくれる成分が配合されている保湿化粧品を用いたスキンケアもおすすめです。
まとめ
これまでお伝えしてきた内容で、皮膚常在菌がいかにお肌にとって重要な役割を果たし、肌フローラのバランスの乱れがどれだけお肌にとって悪影響となるかお分かり頂けたと思います。
皮膚常在菌の役割を知り善玉菌を育むことを意識したスキンケアを行うことは肌トラブル知らずの美肌への近道となりますので、是非、育菌スキンケアを取り入れてみてはいかがでしょうか?
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この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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提供:株式会社SANSHIN