公開日時:2019年2月14日 最終更新日:2020/04/08
石鹸とその他ベビーソープの違いとは?わかりやすく解説
》デリケートな赤ちゃんのお肌へのやさしさを考慮した洗浄成分を使用したベビーソープはこちら
ベビーソープの中には石鹸が洗浄成分となっているものがあり、赤ちゃん用の石鹸をベビー石鹸と呼んだりします。
石鹸を使ったベビー石鹸とそれ以外のベビーソープにはどのような違いがあるのか、わかりやすく解説します。
石鹸(せっけん)とは?
石鹸というのは界面活性剤の一種で、界面活性剤は洗浄成分や乳化剤として使われます。
石鹸は油脂又は脂肪酸に水酸化K(水酸化カリウム)もしくは水酸化Na(水酸化ナトリウム)を反応させて作られます。
水酸化Kは苛性カリ、水酸化Naは苛性ソーダと呼ばれたりします。
昔の人々は狩猟生活をしており、薪で火を起こして狩った動物を焼いて食べていましたが、その際に焼かれて滴り落ちた油が灰となった薪に当たり、さらに雨が降るなどによって偶然反応を起こして発生したのが石鹸の始まりと言われています。
自然界に元々存在するというよりは、自然界の偶然が重なって生まれたものが石鹸というわけです。
脂肪酸は酸とつくだけあって弱酸性の性質があります。一方で水酸化Kや水酸化Naは強アルカリ性です。
油脂に水酸化Kや水酸化Naを反応させることを鹼化(ケン化)と呼び、出来上がった石鹸はpH9.0~11.0程度の弱アルカリ性となります。
純粋に油脂や脂肪酸と水酸化K又は水酸化Naを反応させて作られた石鹸を純石鹸と呼び、純石鹸は必ず弱アルカリ性です。
まれに石鹸で弱酸性のものがありますが、それは純石鹸ではなく、他の成分が配合されているからです。
石鹸の特徴
石鹸には下記のような特徴があります。
- 弱アルカリ性
- 洗浄力が高い
- 生分解性に優れている
- ミネラルなどと反応して石鹸カスができる
弱アルカリ性なので汚れを落とす洗浄力は高く、洗浄中に中和されアルカリ性質が失われると洗浄力を失います。
生分解性が高いため、使用後も微生物によって分解され自然界に還っていきます。
しっかりと汚れを落としてくれながらも環境には優しいというのが石鹸が人気の理由の一つだと思われます。
石鹸の成分表記
石鹸の成分表記としては、
- 石ケン素地・カリ石ケン素地・カリ含有石ケン素地
- 油脂名 or 脂肪酸名+水酸化Na or(and) K
といった表記となっています。
油脂名にはオリーブ油やヤシ油、アボカド油、アーモンド油などの成分が該当します。
脂肪酸名にはカルボン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの成分が該当します。
石鹸の製造方法
石鹸を作る方法には鹼化(ケン化)法と中和法があります。
油脂に反応させるのが鹼化法で、鹼化法は塩析(油脂と水酸化Na反応後に食塩を加えて不純物を含まない石鹸を取り出す)を行う(けん化塩析法)、鹼化後塩析を行わない(焚き込み法)、油脂と水酸化Naを混ぜ合わせた際に加熱せずに作る(冷製法[コールドプレス製法])の3つがあります。
コールドプレス製法はご家庭での手作り石鹸を作る際に用いられます。
中和法は油脂から抽出した脂肪酸に対して水酸化K又は水酸化Naを反応させる方法です。
一般的には液体石鹸は水酸化Kと反応させて作られ、固形石鹸は水酸化Naと反応させて作られます。
水酸化Kと反応させて作られた石鹸の場合、成分名にカリ石ケン素地と記載されます。
まれに水酸化Naと水酸化Kどちらも反応に使用する場合があり、その場合はカリ含有石ケン素地と記載されます。
石鹸以外の界面活性剤について
石鹸以外の界面活性剤としては合成界面活性剤や天然の界面活性剤があります。
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≫界面活性剤について
合成界面活性剤は自然界には存在せず人工的に作られた成分であり、ラウラミドプロピルベタイン、ココイルアラニンNa、ラウリル硫酸Na、デシルグルコシドといった数多くの種類が存在します。
天然の界面活性剤としては大豆等に含まれるレシチンやサポニンといった成分があります。
石鹸の場合はそのまま製品化されるケースもありますが、石鹸以外の洗浄料の場合、通常複数の界面活性剤が洗浄成分として使用されることが多く、天然の界面活性剤は洗浄効果が高くないため、洗浄のメインではなく補助的に使用されることが多いです。
合成界面活性剤と言えば、石鹸との対比で悪く言われがちですが、種類が豊富にあり、内容は様々です。
赤ちゃんのお肌をやさしく洗える合成界面活性剤もあれば、大人のお肌であっても負担の大きいような合成界面活性剤もありますので、どのような合成界面活性剤が使われているのかがお肌への負担を考えるうえで大切となります。
石鹸とその他ベビーソープとの違いについて
石鹸は界面活性剤の一種であり、石鹸以外にも様々な合成界面活性剤や天然の界面活性剤が存在するとお伝えしてきました。
合成界面活性剤を使用したベビーソープに比べ、ベビー石鹸は安全だと言われることが多いですが、実際は石鹸だから安全であり、合成界面活性剤だから安全ではないなんてことはありません。
前述したように、合成界面活性剤は種類がたくさんあるため、どの合成界面活性剤が使用されているかによって洗浄力だけでなくお肌への刺激も変わってきます。
また、必ずアルカリ性質を持つ石鹸とは違って合成界面活性剤を使用した場合には弱酸性ベビーソープを作ることができたりと、それぞれ善し悪しがあります。
石鹸だと防腐剤も不要な無添加石鹸としてそのまま固形石鹸や液体石鹸として販売でき、シンプルさ、環境へのやさしさ、汚れ落ちの良さがウリと言えます。
その分、石鹸そのままの場合、保湿力などは原料となる油脂などに左右されがちです。
一方、合成界面活性剤使用のベビーソープの場合、石鹸に比べ成分数などは多くなりがちですが、保湿効果など洗浄以外の付加効果を期待できます。生分解性や洗浄力なども配合する成分次第でコントロール可能であり、石鹸と比べて引けをとるわけでもありません。
石鹸や合成界面活性剤といったことで区別するのではなく、合成界面活性剤の場合は何の成分が使われているのか、しっかりと確認した上で選ぶことが、ベビーソープやベビーシャンプーといった赤ちゃん用洗浄料だけでなく、大人用の洗顔料、ボディソープ、シャンプー等全ての洗浄料選びにおいて大切です。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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提供:株式会社SANSHIN